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いつの頃からか耳の奥が何やらこそばゆい。耳垢が溜っているのだろうと耳かきを試すが埒があかない。 仕方なしに耳鼻科に行くことにした。初めて行く耳鼻科の医師は恰幅がよく七福神の一人のような頼れる雰囲気だ。 「多分、耳垢だと思うんですがとれなくて...
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アオクイドリという鳥がいた。青いものとあらばすべて喰らう鳥だ。細い嘴の奥からこれも細い舌をだしてするすると青色を吸う。花であろうと石であろうと虫であろうと、吸われたあとは水のように透きとおってしまう。アオクイドリは砂漠のヤギさながらに、ふたたび生いしげるためのささやかな残余をゆるすこともなく、地上も...
人にはそれぞれのお気に入りのものっていうのが、ひとつくらい部屋の中にあるものでしょう? 例えば、オレンジ色の花瓶とか、素敵な装丁の古い外国の本とか、ボブディランのレコードとか、シャガールのポスターとかね。 そのお気に入りを少しづつ増やしていくのは、ある種の...
桃のような産毛がうっすらと生えた、すけてしまいそうなほどつるつるの薄い肌色の球体の生き物が、テーブルの上にあるやまぶどうのつるで編まれた果物入れのカゴの中にぷりぷりとしたその身体をそうっと果物たちの間に隠していた。 バナナやりんごや洋梨に隠れて、すこしだけ見えているその身体はほのかに赤...
このサークル掲示板は、2000文字まで書けますので、ここに新しいトピックとして、小説、または、エッセイ、詩などを載せて下さい。 その作品へのコメントは、自由に誰でも書けるようにしますが、ネガティブなコメントは心の中だけで勝手に思って、書くのはやめて下さいね。 誰も、誰かの...