Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



終着駅Ⅱ

プラットホームの端、レールは不親切に途切れている。
そこから先は、地図にも載らないただの闇だ。
「ここが君の望んだ場所か」
俺の問いに、女は黙って冷えた風を吸い込んだ。
重いトランクの中身は、二人で分かち合えなかった過去の残骸。
改札を出れば赤の他人。
錆びた転轍機(ポイント)のように、俺たちの心は...


終着駅

終着駅。吐き出す息は白く、レールはそこで途切れている。「ここで終わりだ」
俺の声は、凍りついた空気の中へ吸い込まれた。
女は答えず、ただ古びたトランクの端を握りしめている。背後の改札口、錆びた時計の針が重く刻む一秒。
街の灯りは遠く、追いかけてきた過去もここまでだ。
この先、鉄路は雪に埋もれ、ただの...


夜明けのストレンジャー

コーヒーは冷え、灰皿は限界だった。
窓の外、アスファルトが薄く白んでいく。
午前四時の街には、まだ誰もいない。コートの襟を立て、鍵をテーブルに置く。
金属が鳴らす乾いた音が、部屋の静寂を切り裂いた。
俺は一度も振り返らずに、ドアを開ける。階段を降りると、霧が肺の奥まで入り込んだ。
一晩中、誰かの嘘を...


凍る獅子 スノームーンとレグルス

バーボンのグラスに残った氷が、
二月の夜の深さを物語っている。
街の騒音は、白く降り積もった雪に吸い込まれた。
静寂、それだけがここにある。窓の外にはスノームーン。
街を支配する、白く冷酷な満月。
誰の情にも染まらぬ、純白の裏切り者。そのすぐそばで、
レグルスが小さく青白くまたたいている。
獅子の心...


スノードロップ

冷たい雨が、アスファルトの熱を奪っていく。
掃き溜めのような街の片隅で、そいつは場違いなほど白く立っていた。スノードロップ。
「希望」なんて甘い名前を背負わされた、冬の終わりの生き残りだ。凍てついた土を割り、誰に頼まれるでもなく頭(こうべ)を垂れる。
その姿は、罪を悔いる聖者のようでもあり、
あるい...





カテゴリ


Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.