森は ひそかに ひかりを ぬぎ
あわい 霧の なかに 紛れる
きみの わらい声は いまはもう
風が さらう 音のない 楽譜しずかに ゆれる 梢(こずえ)のむこう
きみの 細い 指さきの ゆくえ
みどりの 波間を さまよいながら
透きとおる 午後を 編んでいたなぜ いちどきに 消えてゆくのか
森と き...
森は ひそかに ひかりを ぬぎ
あわい 霧の なかに 紛れる
きみの わらい声は いまはもう
風が さらう 音のない 楽譜しずかに ゆれる 梢(こずえ)のむこう
きみの 細い 指さきの ゆくえ
みどりの 波間を さまよいながら
透きとおる 午後を 編んでいたなぜ いちどきに 消えてゆくのか
森と き...
その森は ひかりの 震えのなか
硝子(がらす)のように 透きとおる
梢(こずえ)の うたう 古い歌も
いまは 風の わすれものみどりの 翳(かげ)は うすれゆき
パレットを こぼれた 淡い青
樹々(きぎ)は やさしい まぼろしに
そっと 輪郭を ゆだねてゆくあとに のこるは なにだろう
一羽の 鳥の...
風は いちどきに ひるがえり
あかるい雲の あわいに 消えた
遠い けものたちの 足おとは
いまは ひそやかな 祈りのようだ金のたてがみは 夕陽に とけて
草のなかに しずかに 横たわる
きらめく瞳も やがて とざされ
深い 眠りの 淡彩(パステル)になるさよならも 言わずに ゆくものよ
昨日の は...
もう陽は落ちて 冷たい風が 丘を渡りゆく
獣たちは ただ黙つて 遠い空を見上げてゐる
かつて愛した あかるい野原は もうどこにもなく
ただ 古びた記憶のように 灰色の雲が垂れこめるかれらは知つてゐる これが最期の時であることを
もう二度と 青い果実を頬張ることも ないのだと
柔らかな毛皮を 陽の光に...
金色の ひかりのなかを
けものらは しずかに あゆんでいた
さよならの ひびきを まといながら
風のなかに その影を ほどいてゆくかつて あんなに あかるく
野をかけ 星を みあげていたのに
いまは ただ うす紅の 雲のした
やさしい ねむりを さがしているもう 吠えることも わすれて
かれらは た...