よるのとばりがおりるとき
街は安物のタキシードを羽織る
ネオンの飛沫がアスファルトを叩き
誰かのついた嘘が、水溜まりに溶けていくバーボンの琥珀色は、裏切りの味がした
カウンターの隅、使い古された孤独を
灰皿に押しつけて、俺はただ煙を吐き出す
煙(スモーク)の向こう側、かつての面影が揺れた追う者と、追...
よるのとばりがおりるとき
街は安物のタキシードを羽織る
ネオンの飛沫がアスファルトを叩き
誰かのついた嘘が、水溜まりに溶けていくバーボンの琥珀色は、裏切りの味がした
カウンターの隅、使い古された孤独を
灰皿に押しつけて、俺はただ煙を吐き出す
煙(スモーク)の向こう側、かつての面影が揺れた追う者と、追...
よるのとばりがおりるとき
世界はモノクロームの嘘をつき始める
街灯の淡い光が、剥がれかけた魂を照らし
俺は使い古したライターの火で、現実を炙り出す拳(こぶし)を固める必要はない
ただ、沈黙の重みに耐えられればいい
路地裏に捨てられた約束が、風に転がり
誰にも届かない叫びが、路面(ロード)に染み込んで...
よるのとばりがおりるとき
街はもう、誰のものでもない。ポケットに手を突っ込み
路地裏の湿った風を吸い込む。
ネオンの残像が、
俺のコートの襟を青く染めた。バーボンのグラスに沈む氷の音は
かつて愛した女の吐息に似ている。
誰もいない。
いや、俺以外、誰もいない。時計は、答えを急がない。
影がまたひとつ...
北風が街の汚れを浚(さら)っていく
代わりに運んできたのは 塩の香りと
どこか遠くで鳴り響く 重い霧笛の残響だ視界を奪うほどの深い白
一歩先が崖か あるいは地獄か
そんなことは この波止場じゃ誰も気にしちゃいない「生きてる」なんて実感は
吐き出した煙草の煙が 風に散るその瞬間にしかない
手の中に残っ...
雨の夜には 安いウィスキーがよく似合う
琥珀色の液体に沈むのは
昨日撃ち抜いた 誰かの野望の残骸だ「永遠」なんて言葉を信じるほど
俺は若くもないし おめでたくもない
指先で転がす 使い古されたジッポーの火
揺れる炎に 消えた女の影を重ねる手に入れたはずの真実は
夜明けの霧に溶けていく 砂の城のように...