まだ明けない東の、薄桃色のひかりのなか
岩場を包む朝霧は、ただ白く、どこまでも深く
すべての音を吸ひこんで、世界はしづまりかへる
私の胸の、行き場のないかなしみのやうに人工の湖は、冷ややかに、ただ眠りをつづけ
波ひとつ立てず、目覚めぬ夢を宿してゐる
だれも私を呼ばない、だれもここには来ない
この圧倒...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
まだ明けない東の、薄桃色のひかりのなか
岩場を包む朝霧は、ただ白く、どこまでも深く
すべての音を吸ひこんで、世界はしづまりかへる
私の胸の、行き場のないかなしみのやうに人工の湖は、冷ややかに、ただ眠りをつづけ
波ひとつ立てず、目覚めぬ夢を宿してゐる
だれも私を呼ばない、だれもここには来ない
この圧倒...
白く、どこまでも白い朝の霧がひろがり
岩場もみづうみも、すべてを隠してしまふ
ここにはただ、世界の果てのやうな静寂
わたしの呼吸(いき)だけが、つめたく響いてゐる背負ひつづけたかなしみは、あまりに重く
私はもう、語るべき言葉を失くしてしまった
ただ独り、この濃い霧のなかに立ち尽くし
消え去った過去の...
裂けた岩肌から、白く、かそけき霧は立ち
ゆらぎながら、青い空へと消えてゆく
それはむかしの人が忘れた、ため息のやうに
誰もゐない斜面を、ひそかに濡らしてゐる谷の底には、いつかひとの造ったみづうみ
鏡のやうに、動かぬ雲を映してゐる
その底ひには、沈んだ村の、或る日のひかり
静けさだけが、いまは、深く湛...
木々の葉むらはみどりのさやさやと
吹きすぎる風はあたらしくつめたく
雲の影は谷間をわたってゆき
ひそかにひとりのかなしみを告げるある山頂の森の、苔むした湯壺には
なつかしい日々の記憶が沈んでいる
古びた木の扉はひそやかに閉ざされ
だれも訪れぬままに時はながれるけれど夏もなほ、ここには涼しいかげり
水...
ネオンの灯が雨の舗道に溶け、歪んだ水たまりを作っている。
場末の飲み屋街。
錆びついた看板が、風に揺れて軋む音だけが響いていた。場違いなほどに、色気のあるサックスの音が聴こえる。
シドニー・ベシェの「サマータイム」。
むせび泣くようなヴィブラートが、湿った夜気を切り裂いていく。一軒のバーのドアを押し...