月光のエンブレイサブル・ユー
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/08/11 20:10:48
深夜二時の十字路
ネオンの灯りが途絶えた場所で
行き場をなくした風が
トレンチコートの裾を揺らすかすかに聴こえるのは
夜の隙間を埋めるサラの低音
傷ついた心に深く深く染み渡る
優しく、重い、愛の告白「私の愛を受け入れて」寂れた波止場へ続く道
足音だけが夜の静寂を刻む
錆びついた錨(いかり)の向こう
...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
深夜二時の十字路
ネオンの灯りが途絶えた場所で
行き場をなくした風が
トレンチコートの裾を揺らすかすかに聴こえるのは
夜の隙間を埋めるサラの低音
傷ついた心に深く深く染み渡る
優しく、重い、愛の告白「私の愛を受け入れて」寂れた波止場へ続く道
足音だけが夜の静寂を刻む
錆びついた錨(いかり)の向こう
...
1. 乾いた陽炎、湿ったジャズアスファルトが吐き出す熱気に
追われるように重い扉を押し開ける
そこは冷房の壊れた真夏の墓場
うらぶれた酒場には 凍りついた時間が澱んでいる
ジュークボックスが軋む音を立てて
ビリー・ホリディの掠れた声を取り出した
"God bless the child t...
アスファルトが昼の熱を吐き出しきれない、八月の午前二時。
ネオンの消えかけた路地裏で、その店は死んだ魚のように黙り込んでいた。重いドアを押し開けると、カビと安煙草、そして誰かが流した涙の匂いがする。
回りっぱなしの旧式扇風機が、ぬるい空気をかき混ぜるだけの空間。
カウンターの隅、錆びたスピーカーから...
そして 僕は また かへつて來る
あの灼けた夏の午後の 影のなかに
おまへは そこに かたちをのこして
光る風のなかで じつと だまつてゐるかつて 歌は ここを通りすぎ
すきとほる羽音が 空の青さに吸はれた
いまは もう だれも問ふものもない
草の茎のうえの ひそやかな抜け殻よおまへは ひとつの季節...
遥かな町に 雨がしずかに降っている
日暮れのはざまに 雨はしずかに降っている
薄紫の 屋根の向こうの暗い空
お前の殻は 手のひらでほのかに光るあたりはしずかに 夜のなかへと沈んでゆく
ともる灯りは 雨の向こうににじんでゆく
あの夏(懐かしい夏)の 光のなかで
お前の歌は 夜のしじまに消えてゆく窓には...