Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



サファイア・ロジック

風が、極北のナイフのように喉元を撫でる。
視界を支配するのは、
慈悲など持ち合わせない、透徹したブルーだ。深夜の波止場、
あるいは、冷え切ったホテルのシーツ。
そこには温もりを拒絶した、
完璧なまでの「静止」がある。男が選ぶべきは、
燃え上がる赤ではなく、
凍てつくような、この青の沈黙だ。月光にさら...

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眩暈の残滓

白銀の光が、網膜を刺す。
この街の朝は、
罪を暴き立てるような、無慈悲な輝きに満ちている。風に煽られたカーテンが
窓辺で踊る、一瞬のワルツ。
その白さに目を細め、
俺は昨夜の残滓を、銀のライターで弾き飛ばした。美しすぎるものは、いつだって凶器だ。
磨き抜かれたナイフの刃渡りや、
裏切りを決めた女の、...

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街を洗う雨はあがったが
湿った風はまだ、
誰かの言い訳のようにまとわりつく。火をつけたばかりの煙草を
指に挟んだまま
俺は角を曲がる。コートの襟を立てるのは
寒さを凌ぐためじゃない。
そこに隠した、
戻ることのない過去を
風にさらわれないためだ。「答えなら、風に吹かれている」
昔の男がそう歌ったらし...

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ニコ店にて中也オマージュー

迷い路の商店街   
汚れつちまつた商店街に
けふも氷雨が降つてゐる。
看板の文字は剥げ落ちて
錆びたシャッター、ひそやかな。一、
「雲を売る店」の軒下で
痩せた店主が欠伸(あくび)する
わたあめみたいな、はかない雲は
買つたとたんに消えてゆく
――ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん二、
「昨日の記憶」...

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ニコ店硝子のメニューと燻る煙

場違いなほど白いクロスの角
タバコの灰が、音もなく落ちた。
ここは「沈黙」を前菜に出す店。
客は皆、自分の影をクロークに預け
名前を忘れたフリをして、椅子を引く。隣の店は「昨日」を煮込むキッチン。
焦げ付いた後悔と、少々のスパイス。
シェフは一度も顔を見せないが
出されるスープは、驚くほど冷たくて苦...

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