サファイア・ロジック
- カテゴリ: 日記
- 2026/04/11 13:30:54
風が、極北のナイフのように喉元を撫でる。
視界を支配するのは、
慈悲など持ち合わせない、透徹したブルーだ。深夜の波止場、
あるいは、冷え切ったホテルのシーツ。
そこには温もりを拒絶した、
完璧なまでの「静止」がある。男が選ぶべきは、
燃え上がる赤ではなく、
凍てつくような、この青の沈黙だ。月光にさら...
風が、極北のナイフのように喉元を撫でる。
視界を支配するのは、
慈悲など持ち合わせない、透徹したブルーだ。深夜の波止場、
あるいは、冷え切ったホテルのシーツ。
そこには温もりを拒絶した、
完璧なまでの「静止」がある。男が選ぶべきは、
燃え上がる赤ではなく、
凍てつくような、この青の沈黙だ。月光にさら...
白銀の光が、網膜を刺す。
この街の朝は、
罪を暴き立てるような、無慈悲な輝きに満ちている。風に煽られたカーテンが
窓辺で踊る、一瞬のワルツ。
その白さに目を細め、
俺は昨夜の残滓を、銀のライターで弾き飛ばした。美しすぎるものは、いつだって凶器だ。
磨き抜かれたナイフの刃渡りや、
裏切りを決めた女の、...
街を洗う雨はあがったが
湿った風はまだ、
誰かの言い訳のようにまとわりつく。火をつけたばかりの煙草を
指に挟んだまま
俺は角を曲がる。コートの襟を立てるのは
寒さを凌ぐためじゃない。
そこに隠した、
戻ることのない過去を
風にさらわれないためだ。「答えなら、風に吹かれている」
昔の男がそう歌ったらし...
迷い路の商店街
汚れつちまつた商店街に
けふも氷雨が降つてゐる。
看板の文字は剥げ落ちて
錆びたシャッター、ひそやかな。一、
「雲を売る店」の軒下で
痩せた店主が欠伸(あくび)する
わたあめみたいな、はかない雲は
買つたとたんに消えてゆく
――ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん二、
「昨日の記憶」...
場違いなほど白いクロスの角
タバコの灰が、音もなく落ちた。
ここは「沈黙」を前菜に出す店。
客は皆、自分の影をクロークに預け
名前を忘れたフリをして、椅子を引く。隣の店は「昨日」を煮込むキッチン。
焦げ付いた後悔と、少々のスパイス。
シェフは一度も顔を見せないが
出されるスープは、驚くほど冷たくて苦...