Nicotto Town ニコッとタウン

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雨の高原にて ――不在のオルゴール

Ⅰ.雨の高原(プレリュード)雨は しめやかに 落葉松(からまつ)の林を濡らし
私の輪郭を 淡く 風景のなかに溶かしてゆく。
私は存在しない幻影、この高原の 霧のやうに
あなたの傘の すぐそばで 息をひそめている。(あんなに明るかつた 夏の日の午后は
 どこへ 隠れてしまつたのでせう)濡れたベンチには...

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失はれた設計図 ――私は存在しない幻影

Ⅰ.風のしらべ(序奏)風が吹いている、見知らぬ街の角で
私はそこにいないのに、私はそこに立たされる
淡いパステルの空に、一羽の鳥が消えるやうに
私の存在は、ただの「さよなら」の余韻にすぎない。(あなたは、私の肩に手を置こうとする
 けれど、指先は夕闇をすり抜けてゆくばかり)それは しあはせな 幻影だ...

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五月の月


青い 玻璃(はり)の夜を 風がわたる
樹々の梢(こずえ)が さざめいて
見えない指さきが そつと
空の頁(ぺえじ)を めくつてゆく窓をあけて 待つてゐたのだ
おまへのやうな しづかな光が
庭の隅の ヒアシンスの影を
やはらかく なぞるのをああ 五月の月を ゼリーにして
銀のさじで すくへたなら!
...

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