孤狼のポートレート4
- カテゴリ: 日記
- 2026/05/10 01:28:21
錆びついたトタン屋根を、雨粒が執拗に叩いている。
無人の待合室。電球は寿命を迎え、死に際のような瞬きを繰り返していた。ベンチの端に腰を下ろすと、古い木のきしむ音が静寂を切り裂く。
ここは、どこへも行かない人間が、どこからも逃げてきた人間とすれ違う場所。
時刻表は色あせ、約束された「未来」など、最初か...
錆びついたトタン屋根を、雨粒が執拗に叩いている。
無人の待合室。電球は寿命を迎え、死に際のような瞬きを繰り返していた。ベンチの端に腰を下ろすと、古い木のきしむ音が静寂を切り裂く。
ここは、どこへも行かない人間が、どこからも逃げてきた人間とすれ違う場所。
時刻表は色あせ、約束された「未来」など、最初か...
薄汚れた雑居ビルの陰で、胃の奥から酸っぱいものがせり上がる。
路地にぶちまけたのは、さっきまで耳に流し込まれていた「救い」という名の汚物だ。奴らは白い服を着て、死んだ魚のような目で、
「愛」や「慈悲」という手垢のついた言葉を呪文のように唱える。
個を殺し、意思を捨て、巨大な一つの意志(マス)に飲み込...
安い琥珀色の液体が、安物のグラスで震えている。
隣のテーブルでは、名前も知らぬ連中が「仲間」という幻想に酔いしれ、
空疎な笑い声を夜の底にぶちまけていた。群れなければ歩けない足腰なら、いっそ折ってしまえばいい。
肩を組み、傷を舐め合い、何者かになったつもりでいる。
その実、個(おの)れの形さえ見失っ...
頭上のスクリーンが「幸福」を垂れ流し
雑踏は、巨大な一つの生き物として脈動する
右へ倣えの信号に
数千の靴底が、乾いた音で同調する奴らは「和」という名の麻酔を打ち
自分の顔を、誰かの背中に預けて歩く
同じ呼吸、同じ絶望
均質化された細胞のひとつとして俺は、その流れを逆行する
肩がぶつかれば、無機質な...
安っぽい馴れ合いの煙に巻かれるのは、御免だ。
ネオンの裏、孤独を肴にバーボンを煽る。
群れる奴らは、夜霧に濡れたゴミ屑と同じ。
重なり合う声は、ただの騒音。
「友達」だの「絆」だの、安物のライターで燃やしてしまえ。
奴らが笑う時、世界は薄っぺらくなる。
綺麗事を並べた、陳腐な喜劇。
誰かの肩に乗っ...