Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



窓の向こう側_夜行列車

お疲れ様でございます、旅人の方。
グラスの底に残る、苦い琥珀色の時間を
どうかそのまま、窓の外へ放り投げてください。
流れる街灯の列は、
誰かが書き置きを忘れた、とり留めのない点字のようです。鉄の軋む音が、あなたの耳元で囁いています。
「ここから先は、名前も過去も必要ございません」と。
シーツの皺(...

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鉄の揺り籠にて_夜行列車

お急ぎのところ、失礼いたします。
当列車は、孤独と闇を運ぶ、ただの鉄の塊に過ぎません。窓外に広がるのは、誰の目にも留まらぬ、黒い虚無。
お客様が抱えられた、行き場のない過去や、
誰にも言えぬ秘密がございましたら、
どうぞ、その重い荷物とともに、
この狭い寝台へお預けください。車輪が刻むリズムは、単調...

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無題_

灰色の氷割り
ウイスキーのグラスに放り込んだのは
昨日まで信じていた、たった一つの正解。
カランと鳴った音は、誰の救いにもならない。
溶け出したのは、無意味という名の透明な毒だ。
飲み干せば、喉が焼ける。
それでも俺たちは、乾きを癒やす方法を他に知らない
さよならの射程距離
銃声は聞こえなかった。
...

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四月の盲目(ブラインド・エイプリル)

カレンダーが残酷な冗談をめくっても
街はただ、白い沈黙に飲み込まれている。
春の霧は、記憶の解像度を下げるための装置だ。昨日までそこにあったはずのビルの輪郭が
ミルクに溶けた角砂糖のように消えていく。
「見えるものが真実だ」と抜かした哲学者は
この湿った朝の街で、きっと迷子になるだろう。俺はコートの...

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未完成の地図を、握りしめて

これから広い荒野へ踏み出す、あなた方へ。世界は、あなたが想像していたよりもずっと、
無愛想で、理不尽で、冷たい場所かもしれません。
信じていた正義が、音を立てて崩れる夜もあるでしょう。
自分の無力さに、ただ唇を噛み締める日も来るはずです。けれど、どうか覚えておいてください。
傷つくことを恐れて、安全...

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