Nicotto Town ニコッとタウン

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燃え尽きる覚悟

虚無に呑まれてたまるか。真っ白な空白を、俺の血で汚してやる。「何もない」と言う奴の顔面に、「ここにある」という一撃を叩き込む。運命が、俺をただの器だと決めつけるなら、その器ごと、運命を粉々に砕いてやる。神が引いた境界線など、泥靴で踏み荒らして通り過ぎるだけだ。理不尽を飲み込み、絶望を噛み砕き、吐き出...

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四月の銀弾(シルバー・ブレット)

四月の月は、安物のニッケル硬貨に似ている。
磨り減って、誰の手にも馴染まず、
ただ夜の天蓋に放り出されている。桜の花びらが舗道を汚す季節だ。
あれは死んだ記憶の断片(かけら)か、
それとも春という名の詐欺師が残した、
出来の悪い紙吹雪か。コートの襟を立て、
俺は最後の一服を夜風にくれてやる。
灰は月...

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硝子の雨と四月の嘘

空が鉛色に歪み
季節が急ぎ足で引き金を引いた
四月の嵐は、甘い春の夢を
路地裏の泥水へと叩きつける風は剃刀の鋭さで
街角の看板を狂ったように叩いている
散りゆく桜は 桃色の返り血か
あるいは 誰かが流した安っぽい未練か俺はコートの襟を立て
湿った紫煙の匂いを吸い込む
バーボンの氷が溶けるスピードで
...

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硝子越しの断頭台

春の陽光が、私の机を無遠慮に照らしています。
埃のひとつひとつにまで居場所を与えるその光は、
まるで慈悲深い告発者のようです。私は氷の溶けきったグラスを置き、
指先に残る微かな紫煙の香りを確かめます。
「お日柄も良く、何よりですね」
独り言に、返事をする者はもういません。窓の外では、名前も知らない花...

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執行猶予の紅

その老木は、もはや立ち上がっているのが不思議なほどでした。
幹に刻まれた深い裂け目は、
かつて誰かが流した、あるいは流させた血の記憶のようです。「ずいぶんと、お疲れのようですね」
私は、ひび割れた樹皮にそっと手を触れます。
春の陽光に透ける花弁は、あまりに薄く、
今にも砕け散りそうな硝子の細工に似て...

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