Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



霧の墓標

夜が明けきらぬ埠頭は
冷えたコーヒーのように苦い
白く濁った朝もやの向こう
見えない巨獣が吠えた
——汽笛だ。湿った風がコートの襟を叩く
消えかけた街灯の下
昨日の嘘を海へ投げ捨てたが
波の音は何も許してはくれない鉄錆の匂いと
誰かが残した安煙草の残り香
世界が目覚める前の
...

>> 続きを読む


自慢話の終焉

カウンターの端で 男が傷を数えていた
安っぽいウィスキーの氷を転がし
「俺の地獄はこんなもんじゃない」と
頼みもしない履歴書を よだれと一緒にぶちまける借金、裏切り、癒えない古傷
奴にとって 不幸は唯一のドレスコードらしい
だが 聞き飽きたレコードの針飛びのように
同じ悲劇が 夜の静寂を汚していく「...

>> 続きを読む


路地裏に置き去り

雨は止まない。だが、奴の言葉よりは清潔だ。
薄暗い街灯の下、絡みついてくるのは湿った空気と、
正体不明の「自意識」を振りかざす、救いようのない道化師。「お前、俺が誰だか分かってんのか?」
「普通、こういう時はさ……」論理も美学もない、ただのノイズ。
奴が必死に守ろうとして...

>> 続きを読む


虚飾のドレス

ルージュの引き直しが、戦闘開始の合図だった。
彼女の唇から滑り出すのは、甘い香りをまとった「選民意識」という名の毒だ。「ここ、予約取れないの知ってる? 私の顔で特別に……」
「結局、センスのいい子しか周りに残らないのよね」煌びやかなシャンデリアの下、彼女は透明なマウントの...

>> 続きを読む


面倒な客

裏切りの夜風が、俺のトレンチコートの襟を鳴らす。
行きつけの寂れたバー、カサブランカ。
カウンターの隅、影を飲み干す俺の隣に、その男は座った。奴が口を開けば、話はいつも同じ。
「この前、ドバイのVIPルームでさぁ」
「昨日、ロレックスの限定モデルが、また増えちゃってね」
「俺の部下ってやつぁ、まった...

>> 続きを読む





Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.