チェリー・ピンクの月と、冷たいエタ
- カテゴリ: 日記
- 2026/06/07 14:26:14
グラスの底に残った氷が、
夜の静寂を小さく笑った。
ラジオから流れるエタ・ジェイムズの声は、
傷だらけの心に注ぐ安物のジンよりずっと濃い。タフでなければ生きていけない。
優しくなければ生きている資格がない。
そんなお決まりのセリフを、
月光に濡れた埠頭の錆びたボラードに呟いてみる。波は黒いインクのよ...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
グラスの底に残った氷が、
夜の静寂を小さく笑った。
ラジオから流れるエタ・ジェイムズの声は、
傷だらけの心に注ぐ安物のジンよりずっと濃い。タフでなければ生きていけない。
優しくなければ生きている資格がない。
そんなお決まりのセリフを、
月光に濡れた埠頭の錆びたボラードに呟いてみる。波は黒いインクのよ...
割れたガラス窓の向こう、
波は黒いベルベットのように埠頭をなでる。
ターンテーブルに落ちた針が、
エタ・ジェイムズの哀愁をかすれた空気に響かせた。"At Last"——ついに愛を見つけた、と彼女は歌う。
だが、この霧深き波止場で待つのは、
裏切りと、錆びつ...
明けない夜のなかで 森はしずかにため息をつき
私はあなたの名前を 風のなかに失ってしまうしかし 深い闇のむこうから
かすかな光が 梢を優しくたたきはじめる
それは夜を連れ去る あたらしい朝の羽ばたき
ねむっていた小鳥が 小さく瞳をひらき
露にぬれた白い花が また静かに息を吹きかえす薄紅の月は 山の端...
花はかおりをはなち 鳥はまたねむりにつく
すべてがひとつの幸福な記憶のなかへ沈むとき
私のこころも あなたの影のなかにとけてゆくけれども 夜はあまりにも深く
月の光は 冷たい涙のように
私の手のひらのうえで ただ白く凍えている
あなたはもう どこにもいないのだと
風が耳もとで 何度もささやきつづける...
街灯が、濡れた黒いアスファルトに、冷たい光を撥ね返す。
深夜二時。
トレンチコートの襟を立て、歩みを進める。
この街の雨は、いつだって容赦なく、すべてを等しく冷え切らせる。チェット・ベイカーの喇叭が、
闇の奥から、低く、重く、這い寄ってくる。
そこには、温かい情愛も、感傷的な涙もない。
非情な現実の...