光り輝く玉座を降りて、最初に見つけたのは
泥濘(ぬかるみ)に反射する、ひどく醜い自分の顔だった。
完璧であることに飽きた精神は、
今、重力という名の洗礼を浴びて歓喜している。善悪の境界線は、
夜霧に溶けて、どこにも見当たらない。
かつて「真理」と呼んでいたものは、
ここではただの、使い古された言い訳...
光り輝く玉座を降りて、最初に見つけたのは
泥濘(ぬかるみ)に反射する、ひどく醜い自分の顔だった。
完璧であることに飽きた精神は、
今、重力という名の洗礼を浴びて歓喜している。善悪の境界線は、
夜霧に溶けて、どこにも見当たらない。
かつて「真理」と呼んでいたものは、
ここではただの、使い古された言い訳...
封筒の中身は、ただの紙切れではない。
そこに記された「標的」も、「目的」も、
この巨大な虚無という歯車を回すための、小さな欠片にすぎない。依頼人が語る大義名分を、俺はただの振動として聞き流す。
正義が勝つのではない。
ただ、声の大きい方が「正義」というラベルを貼るだけだ。
世相という名の集団催眠が、...
光が差し込んでも、世界は騒がしく動き出しても。
この部屋の空気だけは、一歩も外へは出ない。ニュースキャスターの作り笑顔も、
誰かが叫ぶ正義のシュプレヒコールも、
窓ガラスに跳ね返って、路上の塵に混ざるだけだ。時代がどこへ向かおうと、
俺の指先が触れるのは、冷たい机の木目だけ。
価値があるとか、ないと...
灰色の空気が、ゆっくりと部屋の隅から澱んでいく。
思考は、行き場を失った煙のように、
ただ天井を這い回るだけだ。誰かに向けた言葉も、
誰かに向けた憎しみも、
この絶対的な静寂の中では、
ただの古い埃にすぎない。窓の向こう、遠い街灯がひとつ、瞬きを止めた。
世界が死んだようなこの時間に、
ただ自分の呼...
誰もいないバーの片隅、
氷が溶けて、琥珀色の液体に細い筋を描く。
世界がどれほど騒がしくても、
ここには、厚い沈黙の壁がある。読み飽きた新聞の文字が、
意味を失って、ただの黒いシミに変わる。
何者でもなく、どこへも行かず、
ただ、自分の重みだけを感じている。壁の古時計が、重たい秒針を刻む。
それは何...