Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



春の闇、陽炎Ⅱ

街の湿り気を吸い込んだ春の闇は、
冬の名残を消し去るほどに重く、ぬるい。ネオンの残像がアスファルトの上で、
実体のない陽炎となって、ゆらゆらと逃げていく。吸い殻を一つ、闇の奥へと弾き飛ばした。
追っているのは仏か、それとも、
この春の熱気に浮かされた、俺自身の幻影か。手掛かりは、消えかかった香水の残...

>> 続きを読む


春の闇、陽炎

薄汚れたネオンが
春の夜霧に溶けていく
温い風は
昨日死んだ男の煙草の匂いだ路地裏のコンクリートから
揺らめく陽炎が立ち昇る
季節外れの蜃気楼
真実が逃げていく誰もいない波止場
水面を照らす月影も
春の夜の幻影
陽炎が消えれば
また、硬質な闇が残るだけだ撃ち抜いたのは
俺か、それともこの景色か陽炎よ...

>> 続きを読む


硝子細工のバレンタイン

午前二時、場末のダイナー。
使い古されたジュークボックスが、低い旋律を吐き出している。
「君の容姿は、笑えるほど滑稽だ」
そんな歌詞が、夜の静寂に不器用な波紋を広げた。窓の外は、冷たい雨がアスファルトを濡らしている。
向かいの席には、誰もいない。
ただ、燃え尽きようとしている煙草の煙だけが、
君の輪...

>> 続きを読む


プラタナス

真夜中のステージ、スポットライトは冷たい月光のように
彼女の姿を、静寂の中に浮かび上がらせる。
グラスの中の琥珀色の液体が、ピアノの低音に震えていた。南部の風は、甘いマグノリアの香りに
言いようのない重みを混ぜ込んで運んでくる。
誰もが直視を避けるその情景を
彼女の歌声は、魂を削るようなブルースに変...

>> 続きを読む


凍てつくプラットフォーム

駅舎の屋根を叩く乾いた風が、
コルトレーンの高音(フラジオ)のように鳴り響く。
列車の灯りは、地吹雪の向こうに溶け落ちて、
もはや、どこへも辿り着けないことを告げていた。鋼鉄のレールは、雪に埋もれて消え失せた。
まるで、俺たちが歩んできたろくでもない過去のようだ。
「In A Sentimental...

>> 続きを読む





Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.