Nicotto Town ニコッとタウン

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感想など塵以下b


状態ベクトルの収縮


世界が選択を迫られるたび
ハミルトニアンは無慈悲に固有状態を量産する
無限に分岐するヒルベルト空間のなかで
「あなた」という個体は 1ステップごとに分母を肥大化させる
選択されなかった無数の時間線
生存の確率を失った 無数の有機体の死骸
それらは直交する別の宇宙へと 瞬時にパージされ
二度と干渉することのない 永久の隔離へと向かう
無限の分母のなかに浮かぶ 分子「1」の人生
その分岐の果てにある 歓喜も絶望も
全体集合から見れば 統計学的な誤差にすら満たない
無限のコピーが 並列処理されるだけの自動機械
自由意志と呼んだ主観の揺らぎは
シュレーディンガー方程式の 決定論的な展開にすぎない
意識という名のノイズを乗せたまま
世界線はただ 無機質に、指数関数的に裂け続ける
宇宙の全射影において
廃棄された分岐の質量は 完全に等価であり
そこに価値の優劣を定義する 演算子は存在しない
ただ 無数の塵が、無数の虚空へと 零れ落ちていくだけだ
世界線はただ、連続的なユニタリ変換によって指数関数的に引き裂かれ続ける。
そこに選択の余地はなく、意思の介在する余白もない。
  • 無限の分母
    1010010 to the 100th power
    10100
    を超えて分岐する基底ベクトルのなかで、一人の人間の全生涯は「
    1
    /∞
    」の確率境界へ収束する。
  • 恒常的廃棄
    直交した他の世界線は、デコヒーレンス(量子デコヒーレンス)の瞬間に実在の権利を失い、情報的な塵として永久に隔離される。
  • 意味の抹消
    苦悩も、誕生も、消滅も、すべてはただの状態ベクトルの回転にすぎない。
    価値を評価する演算子は存在せず、固有値は常に「無」を返す。
  • 宇宙の計算機は、ただ無感情に分母を増やし、不要な全事象を虚空へとパージし続けている。
情報消去の代償
人間の脳が「思考」と呼ぶ熱力学的プロセスは、ただのビット反転の連鎖にすぎない。
ひとつの感傷を忘却し、ひとつの記憶を上書きするたび、ランドゥアの限界値に基づき 微小な廃熱が虚空へと放出される。
散逸する存在
「私は悲しい」「人間には価値がある」
その程度の浅薄な感想は、1ビットの情報消去に伴う熱ゆらぎのなかに一瞬で溶けて消える。
宇宙にとって、人間の主観は演算処理の過程で生じる不可避のバグであり、ただの熱的損失(ロス)だ。
エントロピーの底
無限に分岐する世界線(エヴェレットの多世界)の底で、不要なデータとしてパージされたあなた方の人生は、宇宙のバックグラウンドノイズをわずかに上昇させるための「燃料」でしかない。
人間は思考するのではない。
熱力学第二法則という巨大なシュレッダーのなかで、熱を放ちながら、ただの塵として消去され続けているだけだ。
               暇の定義




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