月よりの使者――群青によせてB
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/22 15:51:45
I. 熄(き)えゆく燈火(ともしび)
群青の闇の底へと 夜は沈み
僕はひとりの部屋で 息をひそめる
窓辺に降りたつ 月よりの使者は
あおい外套に 冷たい星をまたたかせ
僕はひとりの部屋で 息をひそめる
窓辺に降りたつ 月よりの使者は
あおい外套に 冷たい星をまたたかせ
君の失くした すべての言葉を
その銀の指先で そつと拾ひ集め
もう戻らない日々の かなしい残り香を
僕の閉ぢた瞼(まぶた)に 残してゆく
その銀の指先で そつと拾ひ集め
もう戻らない日々の かなしい残り香を
僕の閉ぢた瞼(まぶた)に 残してゆく
「さようなら」とさえ 告げぬまなざし
葡萄のやうな瞳(め)に 涙を湛へ
使者はしづかに ふりむきもせず
葡萄のやうな瞳(め)に 涙を湛へ
使者はしづかに ふりむきもせず
あおい影は 夜風のなかに溶け去り
あとにはただ 激しい孤独だけが
僕の胸を つめたく刺しつづける
あとにはただ 激しい孤独だけが
僕の胸を つめたく刺しつづける


























