月よりの使者――群青によせて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/09/22 15:47:40
III. 紺碧(こんぺき)のなごり
もう 使者の姿はどこにもない
開け放たれた窓からは ただ
東の空が うすむらさきに明けてゆく気配だけ
あんなに深かつた群青は どこへ消えたらう
開け放たれた窓からは ただ
東の空が うすむらさきに明けてゆく気配だけ
あんなに深かつた群青は どこへ消えたらう
机のうえには 空っぽの硝子壜
けれど僕の心は なぜだか少しだけ
洗ひ流された渚のやうに すきとほり
遠い調べが まだ耳の奥で鳴つてゐる
けれど僕の心は なぜだか少しだけ
洗ひ流された渚のやうに すきとほり
遠い調べが まだ耳の奥で鳴つてゐる
月はもう 白くかすんでしまつたけれど
僕の書く詩の 一行一行のすきまに
あの群青の影が いつまでも残つてゐる
僕の書く詩の 一行一行のすきまに
あの群青の影が いつまでも残つてゐる
それは失つた日々の 美しいあしあと
僕はあおいインクを万年筆に満たし
まだ見ぬ明日のために 最初の文字を書きつける
僕はあおいインクを万年筆に満たし
まだ見ぬ明日のために 最初の文字を書きつける


























