Nicotto Town ニコッとタウン

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都会の駅 オルゴール


せは(わ)しいひと波がゆき交ふ 都会の駅のホーム
ひるさがりの乾いた光が 硝子(ガラス)の天井からこぼれ
ぼくはひとり 古びたトランクを足もとに置いて
錆びついた鉄路の はるかなつづきを見つめてゐる
ポケットのなかの 小さな小さなオルゴール
ぜんまいを巻けば あおい高原の風のやうに
あの夏の日のしらべが ひそやかにひびきだす
人混みのなかで ぼくだけに聞こえる約束のうた
それは機械の奏でる つめたい音のはずなのに
どうしてこれほど ぼくの胸をあたたかく揺らすのだらう
耳をすませば あのかすかな鈴蘭のゆれる音までが
いつかふたたび あの星屑のそらの下へ帰るまで
この小さな音色(ねいろ)を ぼくの道しるべにしよう
騒がしい街のなかに ぼくの静かな故郷をだきしめて_

結びにかへて
ぼくのノートの いちばん小さな空白に
あおい高原の風が いまも一つきらめいてゐる
さようなら ぼくの愛したすべての幻影(まぼろし)たち
またいつか あの星屑のそらの下で逢ひませう

#日記広場:小説/詩




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