Nicotto Town ニコッとタウン

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河もにうつる夏の花火 ――秘密の場所によせて


ひらかれたのむこう 夜のが冷たく渡り
パステルの画のやうなは やがて闇に消えてゆく
ぼくはひとり薄明のなかで 古い日記を閉じ
あの日きみと息をひそめた秘密の場所を弔(とむら)ふ
遠い街のざわめきも絶え 消え入る音楽のやうに
静かな河のおもてに ひとつのひかりが零れ落ちる
それは音もなく引き裂かれた 夏の花火の
かなしい追憶のはじまりのやうに ただ虚(むな)しかった
あかいひかり あをいひかりは水面を滑り
還ることのない夜の底へと沈んでゆく
きみはもう何も言はず ただ幻のやうに透き通り
凍てついたのへりに 一羽の死んだ小鳥を見るやうに
ぼくの手のひらは あの夜の冷たさだけを抱きしめてゐる
日記の白ページのなかに すべてを失ひながら

#日記広場:小説/詩




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