河もにうつる夏の花火 ――秘密の場所によせて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/07/12 11:07:30
ひらかれた窓のむこう 夜の風が冷たく渡り
パステルの画のやうな雲は やがて闇に消えてゆく
ぼくはひとり薄明のなかで 古い日記を閉じ
あの日きみと息をひそめた秘密の場所を弔(とむら)ふ
パステルの画のやうな雲は やがて闇に消えてゆく
ぼくはひとり薄明のなかで 古い日記を閉じ
あの日きみと息をひそめた秘密の場所を弔(とむら)ふ
遠い街のざわめきも絶え 消え入る音楽のやうに
静かな河のおもてに ひとつのひかりが零れ落ちる
それは音もなく引き裂かれた 夏の花火の
かなしい追憶のはじまりのやうに ただ虚(むな)しかった
静かな河のおもてに ひとつのひかりが零れ落ちる
それは音もなく引き裂かれた 夏の花火の
かなしい追憶のはじまりのやうに ただ虚(むな)しかった
あかいひかり あをいひかりは水面を滑り
還ることのない夜の底へと沈んでゆく
きみはもう何も言はず ただ幻のやうに透き通り
還ることのない夜の底へと沈んでゆく
きみはもう何も言はず ただ幻のやうに透き通り
凍てついた窓のへりに 一羽の死んだ小鳥を見るやうに
ぼくの手のひらは あの夜の冷たさだけを抱きしめてゐる
日記の白ページのなかに すべてを失ひながら
ぼくの手のひらは あの夜の冷たさだけを抱きしめてゐる
日記の白ページのなかに すべてを失ひながら

























