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浅い追憶のパステル


II. 硝子窓のむこうの七月
おまえの指先は いつも雲のちぎれ端にふれていた
パステル画のなかの あわい緑の草むらのように
わたしたちの時間は いつでも静かに息づき
窓辺につるした 小さなカノリヤのように歌っていた
けれどいまは 乾いた砂がひそやかに舞い上がり
ハマヒルガオの うつむく花びらを隠そうとする
残された個影は 夕暮れのなかに長く伸びて
もうだれも開けることのない 硝子窓を濡らす
潮騒よ おまえはなぜそんなに優しく寄せるのか
失われたものたちの 名前をひとつずつ呼ぶように
波のきれはしが わたしの靴を濡らしてゆく
小鳥の羽音のような風が 岬をすぎてゆき
わたしはひとり あの日見た窓の幻影をみつめている
砂の砦が しずかに崩れてゆくその夕映えのなかで

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