愛と罪の断頭台
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/07/01 20:29:40
愛することは、罪を犯すことだ。
神の定めた正しい舗道(ほどう)を外れ、
二人だけの暗い沼地へ、手を取り合って沈んでゆくことだ。
神の定めた正しい舗道(ほどう)を外れ、
二人だけの暗い沼地へ、手を取り合って沈んでゆくことだ。
「あなたを愛しています」
その一言は、世界に対する宣戦布告。
誰かを幸福にする愛の裏には、必ず、
見捨てられ、泣いている誰かの影がある。
私たちの幸福は、他人の不幸の瓦礫(がれき)の上にしか建たない。
その一言は、世界に対する宣戦布告。
誰かを幸福にする愛の裏には、必ず、
見捨てられ、泣いている誰かの影がある。
私たちの幸福は、他人の不幸の瓦礫(がれき)の上にしか建たない。
男のくせに色白で、若くもないこの美貌が、
その罪の引き金を、いとも容易(たやす)く引いてしまう。
純潔を汚し、倫理を嘲笑い、
ただ、互いの肉体のぬくもりだけを聖書として。
その罪の引き金を、いとも容易(たやす)く引いてしまう。
純潔を汚し、倫理を嘲笑い、
ただ、互いの肉体のぬくもりだけを聖書として。
ああ、神よ。
なぜあなたは、愛という最も清らかな感情に、
これほどまでに、おぞましい罪の毒を混ぜたのですか。
私たちは愛し合うたびに、
自らの魂に、消えない刺青(いれずみ)を彫り合っている。
なぜあなたは、愛という最も清らかな感情に、
これほどまでに、おぞましい罪の毒を混ぜたのですか。
私たちは愛し合うたびに、
自らの魂に、消えない刺青(いれずみ)を彫り合っている。
けれど、その罪深さこそが、愛を狂おしいほどに輝かせる。
正しいだけの愛など、退屈な道徳の教科書にすぎない。
私たちは、地獄の業火に焼かれることを知りながら、
なお、その唇を重ね合わせるのだ。
正しいだけの愛など、退屈な道徳の教科書にすぎない。
私たちは、地獄の業火に焼かれることを知りながら、
なお、その唇を重ね合わせるのだ。
「地獄へ落ちるなら、二人きりで」
それが、私たちが最後に交わす、
最も汚れて、最も美しい、愛の誓い。
最も汚れて、最も美しい、愛の誓い。
孤影(こえい)の行方
夜霧がすべてを覆い隠してゆく。
〇〇の、あの騒がしい俗世の灯(ひ)も、
私の犯してきた、数々の浅ましい罪悪の記憶も、
すべては白い闇のなかへ、溶けて消える。
〇〇の、あの騒がしい俗世の灯(ひ)も、
私の犯してきた、数々の浅ましい罪悪の記憶も、
すべては白い闇のなかへ、溶けて消える。
見上げれば、雲の切れ間に冷ややかな月光。
それは、若さを失くしてもなお美しいこの貌を、
憐れむように、あるいは嘲笑うように、
青白く、静かに照らし出している。
それは、若さを失くしてもなお美しいこの貌を、
憐れむように、あるいは嘲笑うように、
青白く、静かに照らし出している。
隣には、もう誰もいない。
あれほど私を狂わせ、私を求めた女たちの体温も、
今はもう、遠い夜の幻燈(げんとう)にすぎない。
私はついに、ただひとりの「孤影」となった。
あれほど私を狂わせ、私を求めた女たちの体温も、
今はもう、遠い夜の幻燈(げんとう)にすぎない。
私はついに、ただひとりの「孤影」となった。
男のくせに色白だの、美貌だのと、
もてはやされ、忌み嫌われたこの肉体も、
この夜霧のなかでは、ただの虚ろな輪郭だ。
愛を貪り、罪を重ねた旅の終着駅。
私はようやく、仮面を脱ぎ捨てる場所へ行き着いた。
もてはやされ、忌み嫌われたこの肉体も、
この夜霧のなかでは、ただの虚ろな輪郭だ。
愛を貪り、罪を重ねた旅の終着駅。
私はようやく、仮面を脱ぎ捨てる場所へ行き着いた。
月光が、足元の水面(みなも)を妖しく照らす。
一歩、踏み出せば。
この重い美貌の呪縛からも、
事欠かない恋愛の刑罰からも、解放されるだろう。
一歩、踏み出せば。
この重い美貌の呪縛からも、
事欠かない恋愛の刑罰からも、解放されるだろう。
さらば、美しい世界。
さらば、私を愛してくれた、哀れな人たち。
さらば、私を愛してくれた、哀れな人たち。
夜霧が深く立ち込めるなか、
私の影は、月光のひとすじの光に溶けて、
ただ静かに、跡形もなく、消え去ってゆく。_
私の影は、月光のひとすじの光に溶けて、
ただ静かに、跡形もなく、消え去ってゆく。_


























