パリの森 冬の霧
- カテゴリ:日記
- 2026/06/27 14:49:08
1
しろい霧が 並木道を深くうづめてゐる
そこには だれの足跡もみつからない
僕は ただひとりの寂しい個影(かげ)となり
凍てついた鋪道を あてもなく歩いてゐる
しろい霧が 並木道を深くうづめてゐる
そこには だれの足跡もみつからない
僕は ただひとりの寂しい個影(かげ)となり
凍てついた鋪道を あてもなく歩いてゐる
古い外套のなかに 両手を深く沈め
吐きだす息の あわい白さを見つめながら
僕は むかし僕が愛したひとたちの
やさしい面影を 霧のなかにさがしてゐる
吐きだす息の あわい白さを見つめながら
僕は むかし僕が愛したひとたちの
やさしい面影を 霧のなかにさがしてゐる
梢のさきで ちひさな冬の小鳥がひとつ
かすれた声で なにかを啼いてゐるが
その歌もまた 霧のなかに吸はれてゆく
かすれた声で なにかを啼いてゐるが
その歌もまた 霧のなかに吸はれてゆく
すべては 遠い追憶の彼方に隠され
僕は 冷たい風のなかで立ちつくす
ただ 僕だけの憂鬱を ひそかに抱きしめて
僕は 冷たい風のなかで立ちつくす
ただ 僕だけの憂鬱を ひそかに抱きしめて
2
夕暮は あじさい色の霧の底からやつてくる
街のともしびが ぼんやりとにじむころ
僕は 自分の影さえも見失つてしまふ
この広い森の どこに僕の居場所があるだらう
夕暮は あじさい色の霧の底からやつてくる
街のともしびが ぼんやりとにじむころ
僕は 自分の影さえも見失つてしまふ
この広い森の どこに僕の居場所があるだらう
きみに宛てた ちぎれた言葉のやうに
霧は やさしく僕の肩を濡らすけれど
もう僕を呼ぶ なつかしい声はきこえない
ランプの火も どこか遠くで震へてゐる
霧は やさしく僕の肩を濡らすけれど
もう僕を呼ぶ なつかしい声はきこえない
ランプの火も どこか遠くで震へてゐる
夜の冷気が この孤独を凍らせるまえに
僕は もういちどだけ空を仰ぐ
そこには 星もない暗い帳があるばかり
僕は もういちどだけ空を仰ぐ
そこには 星もない暗い帳があるばかり
ひとつの季節が しづかに終わらうとしてゐる
僕は ただ外套の襟をたてながら
冬の霧のなかへ 消えてゆくのだ
僕は ただ外套の襟をたてながら
冬の霧のなかへ 消えてゆくのだ

























