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魂の領域

誰にも触れさせぬ、いや、触れさせてはならぬ深淵が、誰の胸の奥にも一つずつぽかりと口を開けているものだ。
それを人は魂の領域と呼ぶらしい。
小賢しい理屈や、世間に対する器用な微笑みの裏側で、私はいつもその暗い穴の底を覗き込んでいた。そこは泥水のように濁っている日もあれば、底なしの虚無として冬の夜空よりも冷たく張りつめている時もある。
他の誰かが私の心に土足で踏み入ろうとすると、私は途端に道化を演じてみたり、わざと軽薄な冗談を並べ立ててその場を逃げ出した。なぜなら、その神聖にして悍ましい領域を覗かれることは、私の全存在を否定されることよりも恐ろしい、耐え難い恥辱であったからだ。
私という人間の形を保っているのは、この誰にも見えない魂の領域のおかげであり、同時に、この領域に永遠に閉じ込められているという事実こそが、私の絶望の正体なのだろう。
私はただ、その不可侵の深淵の傍らで、静かに震えている。誰にも知られぬその場所を抱えながら、矛盾に満ちたこの世の中で、ただ一筋の誠実さを守るようにして、生きていくより他に道はないのである。

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