Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



化けの皮の剥がれた夜


男は相変わらず、世界の終わりを憂うような目でグラスを見つめ、
「答えはいつも、暗闇の中にある……」と、意味深な吐息を漏らした。
その安っぽい演劇に、俺の辛抱も限界だった。
俺は男の正面に座り、その「考え深い」したり顔をまっすぐに見据えた。
「なあ、一つ教えてくれ」
男はわざとらしくゆっくりと顔を上げ、賢者のような沈黙で先を促す。
その虚飾の目をめがけて、俺は鋭利な言葉のナイフを突き刺した。
「お前がそうやって守っている高尚な沈黙の裏で、お前は一体、何と戦っている?
誰かの受け売りじゃない、お前自身の言葉で、自分の血を流してまで守りたいものが、一つでもあるのか?」
沈黙が、今度は本物の「静寂」へと変わった。
男の目が泳ぐ。顎に添えられていた手が、わずかに震えた。
言葉を探そうとするが、彼の空っぽな脳の引き出しには、
こんな泥臭い質問に答える既製品のセリフなど、用意されていない。
「それは……一言では……」
男がいつもの逃げ口上を口にしようとした瞬間、俺は冷たく笑って席を立った。
「もういいさ。お前の深淵は、ただの空き箱だ」
メッキの剥がれた男を背後に残し、俺は夜の街へと踏み出す。
ポーズだけの思想家には、この夜風の冷たさは耐えられない。_

#日記広場:日記




Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.