五月の小川に寄せて
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/05/22 14:42:45
Ⅰ
光は こぼれる雲のすきまから
みどりの若葉の あわい手のひらに
ぼくらはそこへ ゆかうとしていた
まだだれも知らない 四月のあの森へ
光は こぼれる雲のすきまから
みどりの若葉の あわい手のひらに
ぼくらはそこへ ゆかうとしていた
まだだれも知らない 四月のあの森へ
いまや季節は 五月のあかるい扉をひらき
森の奥深く 光のしづくをあつめてゐる
おまへがそっと 指さしたその先に
青いまたたきを交はす 小さな小川のせせらぎ
森の奥深く 光のしづくをあつめてゐる
おまへがそっと 指さしたその先に
青いまたたきを交はす 小さな小川のせせらぎ
Ⅱ
さらさらと 水はあや取りを編むやうに
しろい雲の影を ひそやかに運んでゆく
ぼくらは洗はれた まぶしい石のうへに
腰をおろして ただだまって聞いてゐた
さらさらと 水はあや取りを編むやうに
しろい雲の影を ひそやかに運んでゆく
ぼくらは洗はれた まぶしい石のうへに
腰をおろして ただだまって聞いてゐた
そよ風がひとしきり 梢(こずえ)をゆらせば
見えない小鳥の うたふ声がひびく
おまへは小さな日傘を かたむけながら
せせらぎの歌に じっと耳をすます
見えない小鳥の うたふ声がひびく
おまへは小さな日傘を かたむけながら
せせらぎの歌に じっと耳をすます
Ⅲ
夢みたものは あかるい風のゆくへ
ねがったものは ひとつのやさしい約束
すべては木漏れ日の きらめきのなかに
淡い水彩のやうに にじんでいる
夢みたものは あかるい風のゆくへ
ねがったものは ひとつのやさしい約束
すべては木漏れ日の きらめきのなかに
淡い水彩のやうに にじんでいる
だが ぼくらはもう引き返さねばならない
水のひびきが 遠ざかるあの場所から
さようなら 五月のひかりに濡れていた森よ
小川は今日も おまへの面影をうつしている
水のひびきが 遠ざかるあの場所から
さようなら 五月のひかりに濡れていた森よ
小川は今日も おまへの面影をうつしている


























