Nicotto Town ニコッとタウン

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月の十字路


錆びついた街灯が、湿ったアスファルトに真鍮色の影を落とす午前二時。
煙草の煙が、月の光に絡みついて消えた。
路地裏のバー「ノクターン」から漏れ聞こえるのは、
チャーリー・パーカーの『Just Friends』。
歪んだアルトサックスの旋律が、夜の帳を切り裂いていく。
急がない。_
焦らない。_
パーカーのビバップは、私の鼓動とシンクロする。
十字路の中央、冷たい風がコートの襟を鳴らす。
誰もいない。
いや、ここは最初から、私と、孤独と、パーカーの亡霊しかいない場所だ_
弾丸のようなフレーズが、虚空へ飛び散る。
私はバーボンをひと口含み、空を仰いだ。
月は黄色い、真鍮のコインみたいに冷たくて、
誰の願いも聞いてくれない。
「さあ、パーカー。次のフレーズを」
夜はまだ、終わらない。
パーカーが奏でる、孤独が、
この街の真実さ。
さよならを言う時間じゃない。
ただ、サックスの音が、街の底に沈んでいくだけだ_

#日記広場:日記

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2026/05/08 20:10
> 眠さん
やはり無粋なことをお聞きしたようで、気を悪くしたらごめんなさい。
夜明けまでまだ先なので、沈黙という穏やかなひとときを注ぎましょう。
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2026/05/08 14:02
> とまとボムさん
  硝子の雨が降る夜に

お冷やの氷が溶け、グラスの底に沈むまで、この街の静寂に身を委ねることにいたしましょう。窓の外、濡れたアスファルトが街灯を反射しておりますが、あれもまた、精巧に描かれた舞台装置に過ぎません。「私」という輪郭について、お尋ねですか。それは少々、無意味な問いというものです。煙草の煙が空気に溶け、やがて見えなくなるように、私自身もまた、実体のない夢の一部に過ぎないのですから。指先に触れる冷たい真鍮の感触も、喉を焼く安物のウイスキーの熱さも、全ては幻灯機が映し出す一時の悪戯。そう解釈していただければ、話は簡単です。愛も、裏切りも、そしてこの胸を刺すわずかな痛みさえ、夜明けとともに霧散する書きかけの小説のようなもの。私はただ、幕が下りるその瞬間まで、こうして丁寧に、誰のものでもない時間を演じ続けるだけです。さあ、追及はここまでにいたしましょう。夜は深く、そしてあまりにも脆い。私という幻が消えてしまう前に、もう一杯だけ、沈黙を注いでいただけますか。

               ありがとうございました
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2026/05/08 00:26
> 眠さん
こんばんは。素敵だけど哀しい物語をありがとう♬
不躾なことをお聞きしますが、ひょっとしてプロの作家さんですか?
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2026/05/07 22:05
> とまとボムさん
灰色の追伸 風の便りにしては、あまりに重すぎる弾丸だった。受話器の向こうで誰かが、彼女がもういないと言った。あのハーフの瞳に映っていた、遠い異国の空は、もう二度と、この街の湿った夜に現れることはない。別れたあの日、俺は背中で「元気でな」と呟いた。だが彼女は、元気でいることすら辞めていた。若さという名の無謀な運転の果てか、あるいは、半分だけ混じった異郷の血が、彼女を連れ去ったのか。手元に残ったのは、古びたライターと、彼女が書き置きした、解読不能な外国語のメモだけ。死というやつは、いつだって予告なしにやってくる。マフラーを巻く暇さえ与えず、心に冷たい風を叩き込む。墓標に刻まれた名前は、俺の知らないファミリーネーム。彼女が生きた証を、俺は半分しか知らなかった。残りの半分は、彼女と一緒に土の下か。バーボンを一杯、空のグラスに注ぐ。届くはずのない追伸を、煙草の煙に乗せて吐き出した。「あっちでも、生意気に笑ってろよ」雨さえ降らない、からからの夜。俺の時計だけが、場違いにチクタクと時を刻み続けている。   
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2026/05/07 21:31
初めまして♬
プロフィールの洒落たショートストーリーに魅かれて
『Just Friends』を聴きながら読ませていただきました。
「最後の一杯」は主人公は「俺」で十年の交流があった
「奴」との決別?に涙するほどの仲だった。いったい
二人はどんな関係だったのか、腐女子の私はついヨコシマな
想像をしてしまってすみません(;´Д`)
とても良かったのでまた読ませてもらいに来ますネ♬



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