Nicotto Town ニコッとタウン

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夜霧とともに

磨き抜かれた靴音を響かせ、したり顔で「人生抜かれた靴音を響かせ、したり顔で「人生論」を説く。
その完璧なネクタイを、俺の指先が冷たく弾いた。
「いいか、あんたの言う『光』ってやつは、
俺にとってはただの眩しすぎるスポットライトだ。
役者はごめんだ。俺は観客のいない暗闇が気に入ってる」
言葉の弾丸を、その分厚い面の皮にぶち込んでやる。
驚きに固まったその顔こそ、
あんたが今日得られる、唯一の本物の感情だ。
「悪いが、その『正しい地図』は、
火を点けるのにちょうどいい紙切れでしかない。
道なら、今、俺が踏み出した場所にできた」
肩をすくめ、俺は踵を返す。
背後で崩れ落ちる「正解」の音。
振り向く価値もない。
残されたのは、
冷え切った紅茶の苦味と、
俺が吐き出した、紫煙の残り香だけだ。
勝手にしやがれ。
夜は、これからが本番だ。  
したり顔の説教が消えた街角。
俺の足元から、白い夜霧が這い上がってくる。
世界を曖昧に塗りつぶすその白さは、
「白黒つけろ」とうるさい連中の声を黙らせるのにちょうどいい。
「さらばだ、理屈だけの聖者様」
俺は襟を立て、霧の深淵へと足を踏み入れる。
一歩進むごとに、背後の街灯も、野郎の虚しい残響も、
墨を流したように溶けて消えていく。
視界はわずか三メートル。
だが、それで十分だ。
先の見えない闇の中にこそ、俺の呼吸がある。
誰の指図も受けない。
誰の足跡も追わない。
冷たい湿り気を肺に満たし、俺はただの「影」になる。
勝手にしやがれ。
俺は夜霧とともに、俺自身の沈黙の中へ_   

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