Nicotto Town ニコッとタウン

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無明の静寂

街は、光を失った瞳のように沈黙しています。
濡れたアスファルトに映るネオンの残像は、
決して出口へとは続かない、迷宮の入り口のようです。
「無明」という言葉がございます。
それは、悟りに遠い者の迷いだと人は言いますが、
私にとっては、ただこの街に立ち込める、
光を拒絶した深い闇にすぎません。
マッチを擦ってみても、
ただ煙草の先が小さく、赤く灯るだけ。
その細い光ですら、
足元の影を救い出すことは叶わないのです。
グラスの中で溶けてゆく氷の音が、
誰かの囁きのように、静かに響きました。
真実というものは、
引き金を引く直前の、あの空白に似ています。
何かを信じることに疲れたわけではありません。
ただ、疑い続けることに、少しだけ飽きてしまったのです。
私たちはこの暗闇の中で、
実体のない何かの襟首を、必死に掴もうとしています。
けれど、指先に触れるのは、
いつだって、自分自身の冷え切った孤独ばかりでした。
夜明けを待つほど、私はもう、若くはございません。
ただ、この深い無明の闇が、
私の歪な輪郭を、優しく削り取ってくれる。
今は、それだけで十分なのです。

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