Nicotto Town ニコッとタウン

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面倒な依頼者


扉の向こう側で、そいつはまだ「正義」や「効率」について喋り続けている。
分厚い封筒をテーブルに置くその手は、自分の優秀さを疑いもしない男のそれだ。
「君にしか頼めない。報酬は弾む」
使い古された台詞が、部屋の湿った空気をさらに重くする。
そいつが求めているのは解決じゃない。
自分の選んだ駒がいかに完璧に動くか、それを特等席で眺めたいだけだ。
俺は煙草に火をつけ、紫煙越しに書類を眺める。
並んだ条件、緻密すぎるスケジュール、自分へのリスペクトを強要する脚注。
それは依頼書という名の、自分勝手な脚本だった。
「俺はあんたの自尊心を磨く道具じゃない」
喉元まで出かかった言葉を、苦いコーヒーと一緒に飲み込む。
この手のタイプは、断れば「理解できないお前が悪い」と騒ぎ立て、
引き受ければ「俺の指示が良かったからだ」と吹聴する。
窓の外では、野良猫がゴミ捨て場を漁っている。
あいつらの方が、よっぽど高潔な仕事をしているぜ。

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