名もなき花束を
- カテゴリ:日記
- 2026/04/07 10:21:13
ガタつく車輪が、心臓の鼓動と重なる
冷え切った座席の横、そこには
あいつが好きだった、安物のカサブランカが揺れている
冷え切った座席の横、そこには
あいつが好きだった、安物のカサブランカが揺れている
「俺に関わるな」
突き放したあの日、あいつが見せた無理な笑顔
その裏側にあった孤独を、俺はジタンの煙の匂いで塗り潰した
守るために離れたはずが、失うことでしか守れなかった
突き放したあの日、あいつが見せた無理な笑顔
その裏側にあった孤独を、俺はジタンの煙の匂いで塗り潰した
守るために離れたはずが、失うことでしか守れなかった
窓の外、夜明けの光が雪原を刺す
ポケットの中で握りしめた、渡せなかった指輪
冷たい銀の感触が、俺の罪を静かに責め立てる
ただの臆病者の仮面だった
ポケットの中で握りしめた、渡せなかった指輪
冷たい銀の感触が、俺の罪を静かに責め立てる
ただの臆病者の仮面だった
「……待たせたな」
独り言は、列車の風にかき消された
最期の停車場、ホームに立つ人影はない
けれど、朝日に透ける空気の中に
あいつの髪の香りが、微かに、確かに混じっていた
最期の停車場、ホームに立つ人影はない
けれど、朝日に透ける空気の中に
あいつの髪の香りが、微かに、確かに混じっていた
俺は膝をつき、声を殺して泣いた
鉄の男が、ただ一人の男に戻った瞬間
溢れた涙は、凍りついたレールを溶かし
どこまでも続く、光の道を作っていく
鉄の男が、ただ一人の男に戻った瞬間
溢れた涙は、凍りついたレールを溶かし
どこまでも続く、光の道を作っていく
あばよ、愛しい人
この列車の終点は、俺が新しく、お前を愛し始める場所だ
この列車の終点は、俺が新しく、お前を愛し始める場所だ

























