花火
- 2026/01/02 10:16:55
「‥恋人になって欲しい!」
半月の見える展望台で彼はわたしにそう言った。
わたしの頭の中で、その言葉をどう理解してよいのか?グルグルぐるぐる駆け回った。
この静まり返った星空のもと、私たち以外だれひとりこの風景の中にはいなかった。
この世界にはわたし達だけ‥わたし達だけの世界だった。
その言葉は理解できてる。 意味もニュアンスも気持ちも、すべて理解できてる‥
ただ‥、どう応えたらいいのか?その言葉を見つけ出すのに無限の時間が欲しかった。
いいえむしろ! その応えをずっと探していたくさえ思った。ずっとずっと‥
「どうしよう~♪ どうしよう~♪ どうしよう~♪」 ‥て。
この、一瞬で満たされたこころの高揚をできるだけ長く感じていたい‥とさえ思った。
わがままだ‥ほんとうにわがままだ‥。(うれしい‥)
でも、もう一方でわたしが囁く。「はやくッ返事しないと!」
『ドーンッ!』
闇夜に轟音が響きわたり、天空に大きな大輪の花が咲いた。
‥新年を告げる合図だ。ここいらでは除夜の鐘のかわりに花火を打ち上げるらしい‥
「クスッ」(笑)
ぐるぐる渦巻くわたしの想いのスパイラルを、ぷつりと止めてくれる粋なはからいに見えた。
「はい^^」
わたしは確かにそう応えた。
世界が‥この世界がすべてわたしに味方してくれてる‥。
いままで、わたしの方を見向きもすることなく、冷たい戒めしか与えて来なかった世界が、
厳しい反省しか強いて来なかった世界が、わたしの見方をしてくれてる‥。
‥知っていた‥
本当はこの世界は「喜び」に満ちている。でも、そんな全てのものを、その価値を、その意味を、
わたしは今までぜんぜん分かって来なかった。理解するための「器(うつわ)」も無かったのだ。
そうだ‥たとえ、かりそめのものであっても‥
たとえ誤解と勘違いの果てに創り出されたはかない夢であっても‥
もう!わたしは、それでも構わない。
ああ‥あの人も‥、きっとこんな気持ちだったんだ‥
こんな気持ちのままで、居たかったんだ‥ ‥ずっと‥‥そばに居たかったんだ。
‥‥ゴメンね‥‥
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