Nicotto Town


ストーリーテーラーの集まる小さなカフェ

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車を洗う男

投稿者:Litsu☆

かなと、ゆいと、わたしが通学でいつも通る、少し離れた住宅地の中。
古くからある住宅地だから、新しい家と古い家とがまだらに混在して建ってる。
そこで、朝、いつも屋根付きガレージで車を洗ってるおじさんがいる。
一度みんなで挨拶したけど、チラっとこっちを見ただけで何も返事が無かったので
それからは、声をかけないようにしている。
いつもシャツ一枚で、一生懸命、丹念に丹念に、家の車を洗ってる。
ちょっと古めのどこにでもありそうな白色の車。そんなに汚れてる風にも見えない。

「どうして、いつも車洗ってるんだろう?」

不思議だったので、わたしは皆んなと話したことがある。

「それがね?ちょっとまえ、ご近所の野良猫が道で轢かれたらしいよ。」
「ええー、ネコちゃん?」
「そう!、どうもその日以来、熱心に洗い始めたみたい。」
「えーッうそー、じゃあ轢いた車って‥」
「さあ‥それは分かんないよ。でも、同じ色の車だったんだって。」
「ええー!」

まさか、猫を轢いて、その血が車に‥。洗っても洗っても取れない‥的な?
そういう理由で洗ってるんだろうか?

「それって、こわいよー。猫の呪い??」
「やばいよ・・やばいよ・・あっち行こう。」

私達はその家から一本離れた筋を遠回りして、登下校するようになった。

しばらくしたある日、ふと見るとご近所さんと思われる人と、その「車洗いおじさん」が
二人で話していた。今まで「車洗いおじさん」が、誰かと話してるとこなんて見たこと無かったから、
私達は怖いもの見たさで、何を話してるのか?辻の角からそお~っと覗きながら聞き耳をたてた。

「やあ~、毎日毎日、ご熱心なことですなぁ、もうピカピカでしょう、その車も。
 それにしても、どうしてそこまでキレイになさってるんです?」

「ああ、家内がね?運転中に何かを轢いちゃったって、うるさいんですよ。」

「おや、それは‥。」

「ざーっと見ても、何にも無かったんで、気のせいだろ? 何にも無いぞ、って
 言ってやったんですがね?‥  まあー、毎日、毎日、毎日、毎日、顔合わすたびに
 痕があるはずだ!痕があるはずだ!ってね?  もう、たまらんです。 
 ‥あんまりうるさいんで‥
 トランクの中で大人しくさせとるんですが、夏場は消臭剤も効かんですなぁ。」

「え?」

「いやね?一応5重のビニール袋に小分けして、防腐剤と石灰も一緒に入れて封してあるんですが、
 まあ・・洗っても洗っても、洗っても洗っても、匂いが消えんのですわ。‥困ったやつです。」









管理人
ケニー
副管理人
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公開
全公開
カフェの利用
朝10時~夜24時
カテゴリ
自作小説
メンバー数
18人/最大100人
設立日
2024年02月18日

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