夢見る少女のように
- 2025/07/06 10:26:17
投稿者:Litsu☆
その少女は夢を見た。
見てはいけない夢を見た。
その夢はとても長かった。
そして、夢から覚めた少女は大人になっていた。
周りを見渡すと、誰も居ないことに気づいた。
よく見ると、そうではなかった。
半透明の人影が、街が、空が、動いているのが分かった。
でも、触れられなかった。
手を伸ばしても、体を素通りするだけで、掴むことが出来なかった。
その街の人々にも、自分のことが見えてないのだと悟った。
少女は世界にただ一人、取り残されていた。
今からどうすればいいのだろう? どこへ行けばいいのだろう?
少女は途方に暮れてしまった。
目の前には世界が、広大な世界が、触れらない感じられない世界が、
膨大な時間とともに延々と繰り広げられていた。
…少女は悲しかった。
しかし、どうすることもできなかった。
なので、少し眠ることにした。
今度は覚めない夢を見よう…と、心に願いながら
しずかに目を閉じた。