風車
- 2025/06/28 21:59:53
投稿者:Litsu☆
大空にゆっくりと、白いつるぎのような羽が横切っていく。
…風車だ。
見上げると、巨大な支柱の先にプロペラの形をしているのが分かった。
ここいらでは湾からの風がしょっちゅう吹いてくる。
風力発電にはもってこいなのだろう。辺りの青草もしなやかに波打っていた。
今日は空が広い。水平線の夏雲があざやかな青と白のコントラストをつくっている。
荒ぶる風に乱される前髪を左手でなだめながら、静かに自問していた。
「いったい、何様のつもりなの? わたし…。」
わたしは、あの人を試した。
あの人を振り向かせるために、わざと好きなふりをした。
なぜ?
それはなぜ?
それって、わたしがあの人を好きだから。…じゃないの?
わたしはあの人を見つけた。
あの人もわたしを見つけてくれた。それどころか愛してくれた。
お互い…慕い合っていた。
なのになぜ?
答えは知ってる。わたしが愚かで邪で欲深かったからだ…
空の青さも、日差しの清々しさも、わたしには眩しすぎる。
ここはきっと、汚れた魂の居るべきところじゃない…。
そうだ…来た道を帰ろう。
…でも、かつて通った道は、もうそこには無いのだけれど…
・
そうですね…。気付きも、悲しみとセットでやってきますので…