土の魚
- 2024/08/23 09:57:11
みなさんは土から生まれる生き物をご存知だろうか?
それは南太平洋に浮かぶ、ヌイ(Nee)という小さな島国に生息する固有種で、はじめはまるでミミズのような姿をしている。
島の言葉で、「土の魚」を意味する“ナガ”(Nnagua)という生物だ。
春になるとナガは、2mm程度の小さな卵から生まれ、植物のように土から栄養を摂取しながら土の中で大きくなる。
1ヶ月ほどかけて1cm程度まで大きくなると、ピンク色の柔らかいナガの幼虫は土から出て、島のジャングルの中央に流れるアイラリバーを目指して地面を這う。
しかし、そのほとんどはアイラリバーに辿り着く前に鳥や昆虫なんかに食べられてしまう。
しかし、運の良い数百匹のナガだけがアイラリバーに辿り着くことが出来る。
土から出て、アイラリバーへ向かう行動はDNAに組み込まれているのだろう、全てのナガに例外は無いようだ。
そして、アイラリバーに辿り着いたナガはただ流れに身を任せて下流へと向かう。
ナガには泳ぐ能力は無く、本当にただ流されるだけなのだ。
そこでも危険は待ち構えている。
魚たちに次々と食べられてしまうのだ。
そうして、ほんのわずかに残った数匹の奇跡のようなナガだけが海へと流れ着く。
海へ流れ着いたナガたちは潮水によってすぐにまた栄養の吸収を再開する。
土の中にいた時と同様、海水から栄養分を全身で吸収するのだ。
そこからの成長スピードは著しく、数時間でみるみるうちに成体になる。
成体となったナガは、うなぎに似た形で、色は見事なエメラルドグリーンになる。
特殊なのはナガにはエラが無く、全身で海水から酸素を吸収する。
だから、ナガは基本的に深く潜ることは出来ない。
海水中酸素濃度が濃い海面付近や海藻などが多い場所を好んで生息する。
成体後のナガには口が出来て、その口は特殊な形状をしている。
頭部に掃除機のホースのような穴が出来、その穴の中に小さいが鋭い歯がずらりと何列も並ぶ。
その頃になるとナガは魚や蟹、イカなど、動くものはなんでも食べるようになる。
ナガに食べられた魚は口内の鋭い歯の列であっという間に大根のようにおろされて、消化の良い状態で胃に送られるので、ナガは更に成長を加速させる。
成長を続けるナガは、色も変化していく。
綺麗なエメラルドグリーンから、青になり、さらに成長すると深い青になる。
その頃になると体長は7~80cmを超える。
そして、さらに成長を続け、やがて2メートルになる頃にはナガの全身は真っ黒になる。ナガはヌイの海の食物連鎖の頂点に立ち、成長をし続ける。
そして、大きなものは、全長8メートルになるものまでいるが、ヌイ島の伝説には、25メートルのナガも記録されている。
25メートルのナガは、まるで夜を搾って垂れた黒のエッセンスのように、本当に漆黒で、恐ろしい海の神のようだったと記述されている。
昨年度だけで、13名の船乗りや観光客がナガの犠牲になっており、ヌイ島は美しい海があるのに観光客がとても少なく、そのため、まだまだナガのことは知られていない。
ただ、今年の1月、ヌイ島で生まれた子供が漆黒の肌をしており、「ナガの呪い」とニュースになった。
そのナガが近年、アメリカ西海岸での目撃情報が多発しており、カルフォルニア州ではビーチ遊泳を一時期禁止する事態にまで発展した。
恐ろしいことにカルフォルニア沖で何度も目撃されているナガは、体長10メートルほどで海中に見えたのは長い手足のようなものも生えていたそうだ。
生物学者たちは、このナガがどの生物区分に分類されるのか、さえもわかっておらず、全くの新種という見方もあるようだ。
ところで、その漆黒の肌の子供は、元気にすくすく育ってはいるが、まだ生まれて半年程度にも過ぎないのに、もう言葉を話すようだ。
それは、ヌイ語でもなく、ヌイ島の第二言語のフランス語でもなく、誰も聞いたことのない言語で、赤ん坊の口の中の、"やけに深いところ"から聞こえてくるようだ。
ありがとうございます(^0^)
はい、本当に実在するように書いた方が面白いなあって思って、書きました〜(^-^)
へえ〜、それ、面白そうなり(^0^)
読んでいただいて、ありがとうございます(^0^)
本当のように書いているけど、完全なフィクションです(^-^)