Nicotto Town


ストーリーテーラーの集まる小さなカフェ

違反行為を見つけたら?
  • サークルTOP
  • サークルカフェ
  • 掲示板
  • 伝言板
  • メンバー一覧

アオクイドリ

投稿者:ロワゾー

アオクイドリという鳥がいた。青いものとあらばすべて喰らう鳥だ。細い嘴の奥からこれも細い舌をだしてするすると青色を吸う。花であろうと石であろうと虫であろうと、吸われたあとは水のように透きとおってしまう。アオクイドリは砂漠のヤギさながらに、ふたたび生いしげるためのささやかな残余をゆるすこともなく、地上も、地下も、空さえも根こそぎ貪った。かれらがふえるにつれこの色はひたひたとうしなわれていき、二百年もすると空色という単語から青の含意がほぼ消えるにいたった。いまやかれらは同胞からその色を奪うほかなかった。奪った鳥はなお青み、奪われた鳥は透きとおってくるしみ、氷のような塵をちろちろとふきちらして溶けた。奇妙に静かに、それはおこなわれた。潮騒に似た羽ばたきの音ばかりがひびいた。かれらは啼かない鳥だった。長からずして共食いがおわると、ただ一羽が残った。この世のすべての青を凝集した鳥だった。最後のアオクイドリは、ふたつぶの円い目を、凍るような焦げるようなその色にみたして死骸の塵のうえに動かなかった。かつて両目からその色を奪われて水滴のような眼球になってしまったひとりの女が、少し遠くからそれをみつめていた。

アバター
2024/06/29 21:49
いい!
アバター
2024/02/23 14:00
凝集した青をまとった鳥。わたしはサファイアのような色を想像しました。
その鳥が亡くなってしまったら世界には青がなくなってしまうのですね。
そんな透明な世界もまた美しいのかもしれません。
アバター
2024/02/21 14:02
面白い〜!!

最後に残ったアオクイドリ、おれはその色をほとんど黒に近い色に想像しました。
アバター
2024/02/21 13:59
むかし書いたものをひっぱりだしてきました。



管理人
ケニー
副管理人
-
参加
受付中
(今すぐ参加可能)
公開
全公開
カフェの利用
朝10時~夜24時
カテゴリ
自作小説
メンバー数
12人/最大100人
設立日
2024年02月18日

Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.