Nicotto Town



黄色のMOJI

忙しい、という言葉はたいてい時計のせいにされる。けれど針はどこへも急いでいない。ただ円を描いているだけだ。急いでいるのは、僕たちの内側に棲む小さな獣で、予定表の余白をひどく嫌う。 メールの受信音が鳴るたびに、静かな記憶がポケットの奥へ押しやられる。コーヒーは少し冷めているのに、心だけが沸点の近くで泡...


久しぶりでごめん

本業と副業が、脳内でケーブルごちゃごちゃに絡まっている。
どっちのタスクを開いたか、一瞬わからなくなる午前十時。
湯呑みの緑茶はもう三杯目で、
効いているのか、ただの作法なのかも曖昧だ。 SlackとDiscord、メールとDM。
通知音だけがやけに公平で、
どの仕事も「今すぐ」を装って割...


ジェラシー

それは嫉妬というより、
君に触れたいと思った手を
途中で引っ込める癖のことだ。近づけば近づくほど、
何もできなくなる。
君の体温を知ってしまったら、
もう戻れない気がして。夜、シャツの匂いが少し残っていて、
それだけで
胸の奥が苦しくなる。
触れていないのに、
触れたあとみたいな気...


報われない所作

今日も僕は、
穴のあいたバケツで水を運ぶという所作を繰り返す。
こぼれる音だけが、
自分が何かをしている証になる。 地図はある。
ただしゴールだけが消えている。 砂漠に種をまく手つきは、
もう祈りに近い。
芽が出ないと知りながら、
その動作だけが丁寧になる。 努力は成果にならず、
所...


寒波襲来と筋肉

夜明け前
街は息を止め
骨の奥まで 白くなる 肩は無言で持ち上がり
首は記憶を畳み
筋肉は 身を守るために
固く 古い石になる 血は遠回りを強いられ
言葉にならない痛みが
静かに 繊維の間を歩く それでも
温もりを知っているから
筋肉は 忘れない 風呂の湯気
擦り合う掌
ゆっく...





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