もしもこの空のムコウに夜の宇宙が広がっていて、静かにそして冷静に心というものを眺めてくれるなら。私たちがとても小さくて弱くて心細いものだと、見抜いてくれるでしょう。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
もしもこの空のムコウに夜の宇宙が広がっていて、静かにそして冷静に心というものを眺めてくれるなら。私たちがとても小さくて弱くて心細いものだと、見抜いてくれるでしょう。
帯留めがある、母が愛用したものだ。紫水晶の色が変わる話を聞いていたが、確かめるまで信じていなかった。母がお粧しをして、出かける時は決まって紫水晶の帯留めをしていた。銀座に買い物に出かけた時、フルーツパーラーに入った。ふかふかの赤い椅子、隣にはおしゃれな白髪のおばあさん。そのおばあさんの着物も素敵だっ...
もしも好きな人が出来たら、そしてその人が苺をほしいと言ったら。その手のひらに何個も何個もポケットにも、頭の上にもそこらじゅうに苺をあげよう。その人が、「ありがとう、もうたくさんです。ありがとう」と言うまで永遠に。もしもその人が、青く澄み渡った空が見たいと言ったなら。空を澄み渡った空を、地の果てまでも...
連休中は近場にお出かけ、パレードがやってくる。宇宙飛行士のようにフワフワと真綿のような私は、宇宙服ごしにキスをする。砂漠の王子はラクダに揺られて、こぶの前にはあなたの髪が風に吹かれていい香り。幻はこの体、幻のあなたは地球より早く回り続け追いつけない。足が地面に向くのは重力のせい、ばらまいた花びらも地...
叔母がお土産にと持ってきたジャガイモ。さてさてどのようなものにしたものか、そんな時は秘密のレシピノートを開く。目にとまったのはじゃがいもの団子スープだ、これは父の好物でもあった。じゃがいもを生のまますりおろし、そのまましばらくおく。すると、でんぷんと上澄みに分離する。上澄みは捨てる、残ったでんぷんを...