人生というものは不条理に耐えることだと、いつの頃からか思ってた私。かなりの天邪鬼である。苦労の成果はいつも、遅れて実る果実。ややもすると大人びて、遅ればせながらひとり滂沱の涙を流して退場だ。何と言っていいのかわからない、だけど何かを伝えたい時。がんばってねと、人は言う。たぶん私も言うだろう、もっとぴ...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
人生というものは不条理に耐えることだと、いつの頃からか思ってた私。かなりの天邪鬼である。苦労の成果はいつも、遅れて実る果実。ややもすると大人びて、遅ればせながらひとり滂沱の涙を流して退場だ。何と言っていいのかわからない、だけど何かを伝えたい時。がんばってねと、人は言う。たぶん私も言うだろう、もっとぴ...
もう二度と会えないんだ、これが最後なんだと。そう思いながら私は人と会ったりしゃべったり、次に会う約束をしたりしている。そうすると、このくだらない冗談も甘やかで悲しい記憶になる。目の前が急にせつない色に染まる。
経験を重ねて、重ねて。意味は深く、深くなる。何かの花びらのように、何もかもがいっぺんに、ほどけるようにわかる時が来る。
空に稲光、昼間だというのに暗闇が広がる。まもなく雨粒が落ちてきた、地面に点々と雨の痕が散らばった。少しずつ密になってゆく、いつしかまわりは雨模様。あまりの豪雨にまわりの音がかき消され、空気ばかりが洩れている。音が聞こえないくらい、私は口笛を吹いてみた。