自作小説「いじめられない子供」第五話(全九話中)
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/08/27 08:53:46
第五話 事件の発端
クチナシ市立第一小学校の子供社会が動いた。きっかけは橋本紬(はしもと つむぎ)の転入だった。 六年生になって、いよいよ女王として君臨するはずだった荒木舞(あらき まい)が、その座を自ら退いた。 同時に、子どもたちのうっ憤ばらしの標的だった大崎留美(おおさき るみ)の態度が豹変し...
しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください
第五話 事件の発端
クチナシ市立第一小学校の子供社会が動いた。きっかけは橋本紬(はしもと つむぎ)の転入だった。 六年生になって、いよいよ女王として君臨するはずだった荒木舞(あらき まい)が、その座を自ら退いた。 同時に、子どもたちのうっ憤ばらしの標的だった大崎留美(おおさき るみ)の態度が豹変し...
第四話 及川静香の方針
「海王を辞めさせるのか?」 電話の向こうにいる元夫・橋本徹(はしもと とおる)の声は困惑していた。「単身赴任すればいいだけでは?」 及川静香(おいかわ しずか)が反論してくるのは予想していた。「あの娘といっしょに暮したいの。海王にいる必要はない。紬の学力なら全く問題な&he...
第三話 荒木舞が選んだ道
寺田遥斗(てらだ はると)と別れ、荒木舞(あらき まい)は自室アパートのドアを開ける。当然、両親は留守だ。 ルームウエアの着替え、キッチンに立つ。炊飯器は保温になっていた。「野菜炒め作ればいいや」 舞は独り言をつぶやきながら、カット野菜を冷蔵庫から引っぱり出した。フライパ...
第二話 大崎留美の選択
大崎留美(おおさき るみ)は、舞が紬に話しかけるのを衝撃とともに見つめていた。 舞の司令の下に留美はいじめられ続けてきた。 クチナシ市とその周辺の子供の憎悪のはけ口と処分場としての使命がいつ終わるのか? そのいじめからの解放の糸口を見つけたかもしれない、そう思ったのだ。
...
第一話 転校生の橋本紬
いじめられない子供がいた。子供階級社会のてっぺんに立った彼女は、無自覚だった――
紬(つむぎ)はいじめられたことがない。彼女は、いじめが発生しない条件を所有しているからだ。 紬はそのことを自覚していない。いじめられたことがないからだ。
「あいつをいじめるのは、ダメだ」 ...