「風の又三郎 1941」#1-4
- カテゴリ: 日記
- 2017/02/16 15:01:18
哲也は双眼鏡が大き過ぎて稔の顔に合わないといったことを説明しているのだが、そんなことにお構いなく稔は双眼鏡を取ろうと背伸びをした。そして、いつもの兄弟喧嘩。暴れる稔を哲也が押さえつける。さっきから黙っている清は、何やら心配顔をしている。哲也が本気で稔と喧嘩をするはずもなく、いったい何が心配なのだろ...
哲也は双眼鏡が大き過ぎて稔の顔に合わないといったことを説明しているのだが、そんなことにお構いなく稔は双眼鏡を取ろうと背伸びをした。そして、いつもの兄弟喧嘩。暴れる稔を哲也が押さえつける。さっきから黙っている清は、何やら心配顔をしている。哲也が本気で稔と喧嘩をするはずもなく、いったい何が心配なのだろ...
6500万年前、恐竜をはじめ多くの種が絶滅した。大量絶滅である。2億5000万年前の三葉虫絶滅以来、生物の大量絶滅は2600万年周期で訪れる。
ネメシス、ギリシャ神話に登場する「義憤の女神」の名が付いた太陽の伴星「ネメシス」が周期的な絶滅の引き金を引くという仮想の天体である。古生代から現在まで1...
ともかく、四人は東岳に登った。久しぶりの山登りに照子は、途中で何度も座った。 「そやから言うたやろ」 哲也が座り込む照子を睨んでいた。肩で息をする照子は、立ち上がりながら答えた。 「心配ないし。頂上まであとちょっとや。先に行って」 「ふむ」 哲也は弟の稔を呼んだ。 「稔、お前は照子...
翌日の昼、畑の手伝いをしていた照子は、六年生の哲也の声を耳にした。哲也の弟で三年生の稔もいるようだ。あぜ道を大声で話しながら歩く哲也。弟の稔は話を聞いているのかいないのか、気もそぞろに辺りを見回しながら後ろを歩いている。稔がふと立ち止まった。足元の何かを見ている。それに気が付かない哲也と稔の距離が...
「風の又三郎 1941」 1 昭和16年8月23日、京都府愛宕(おたぎ)郡(ぐん)加多村。深緑の山々に囲まれた集落には、全校生徒6人の分校があった。夏休みなのだが、夕暮れ迫る校庭には多くの人が集まっていた。皆、家族ごとに持ち込んだ茣蓙に座って...