谷底に咲く花々、さまざまな色に咲く花園。
分け入り花びらを散らし葉を揺らし、水に身をゆだね。
揺られ、仰ぐ。
あおぐ、空。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
谷底に咲く花々、さまざまな色に咲く花園。
分け入り花びらを散らし葉を揺らし、水に身をゆだね。
揺られ、仰ぐ。
あおぐ、空。
待ち合わせの時間より、早くつくのはいつものことだ。慌てて行くのは、好きじゃないし。会う前には、まず身だしなみ。チョットしたこだわりの洋服選び、それは今どきのファッションではなくて我流。電車が遅れることだってあるし、そんな時も慌てたくない。だけど、本音は少しでも早く会いたいから。約束の場所に向かう電車...
回廊のぐるりにひとつひとつ絵があった。オリーブの丘に太陽の絵。北国の暗くひくい雲と港の絵。夕ぐれに木の下で手紙を読む少女の絵。どれも、うっすらとした旅情。
潮風ほどの憂愁。
そんな長い旅をして、今はあなたの腕の中。
旅先で大きな栗の木を見かけた、たわわに実った栗の果。私は勝手に、あの大きさは丹波の栗でしょう!と思った。それと通りをはさんだ向かいに、私の視線は果物店にそそがれていた。硝子戸を備えた昔ながらの店構えで、奥の壁には柱時計や色褪せた木箱が積み上げられている。 妙になんだか懐かしい気がして、店の前で足を止...
目に見えない、確かにこれと説明できない。なにか神秘的で、真面目な力を信じているけど。その力が私を認めてくれない限り、あの人は私を好きにならないだろう。