窓の外は一つとして同じ形のない雲、
病院の窓から毎日雲を探して眺めていた。
雲がもくもくと形を変えて流れて行くのを見ては楽しんでいた、
雲と言うのは色んな形に見えたりする。
たとえば大きな鳥みたいなものがあれば、
ラクダのようなものもあり、人の横顔のような物もあった。
僕が一番気に入っているのは女の...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
窓の外は一つとして同じ形のない雲、
病院の窓から毎日雲を探して眺めていた。
雲がもくもくと形を変えて流れて行くのを見ては楽しんでいた、
雲と言うのは色んな形に見えたりする。
たとえば大きな鳥みたいなものがあれば、
ラクダのようなものもあり、人の横顔のような物もあった。
僕が一番気に入っているのは女の...
彼の仕事が忙しくなるにつれて、
一緒に会うという簡単な事がとても難しくなってきた。
そして、
一人の時間を「昔の事を思い出す」事に費やすのが多くなった。
まだお互いが学生だった頃、
あなたの家の近くにあるカフェとも呼べない喫茶店で、
一日中を使って、お互い気になる本を持ち寄って、
勝手に読むのがデー...
今から30年前。
江戸時代の奇才画家・伊東若冲が描く極彩色の花鳥画を、
漆黒と金のツートンでリバイバルさせたポスターが話題をさらった。
グラフィックデザイナー・久谷政樹氏の「黒と金の世界」である、
マットな黒地で描かれた動物たち。
あたかも漆黒の闇の中をうごめくかのような妖艶である。
同作品を身近な...
一年は過ぎただろうか、
私に泣きついてきたのは幸子ではなく雪太郎の方だった。
そう言えばトンと雪太郎の浮名を流す噂を聞かない、
病気は直ったか、ま~二人で仲良くやっているのが一番だろう。
待ち合わせ場所は人気のない公園だった前から雪太郎が来た、
それは妙にびくびくしながら後ろを振り返り挙動不審だった...
雪太郎は女たらしだった。
彼は一見呑気なおぼっちゃんの見えるので、
会う人みんなに微笑んでいい人ねとよく言われる。
そして顔立ちもスタイルも整っているから言う事が無い、
ま~頭は私と同じ大学なので普通だろう。
私は雪太郎と付き合いが長いため彼の女性遍歴をよく知っている、
女性うけをイイことによく彼女...