老エゾマツの話・・その3
- カテゴリ: 日記
- 2024/01/19 16:09:28
老エゾマツの話は続く。
<その時、若い男女が二人、沼を前にして佇んでいたんだ。彼らは、人目を忍びここ迄やって来た。親しい人達も知らない秘事である。二人だけになりたいとの思いが行き着いた恋路である。二人は、岩の陰で衣服を脱ぎ一糸纏わぬ互いの裸身を見詰め合う。この世に生まれて初めて異性に、それも相...
老エゾマツの話は続く。
<その時、若い男女が二人、沼を前にして佇んでいたんだ。彼らは、人目を忍びここ迄やって来た。親しい人達も知らない秘事である。二人だけになりたいとの思いが行き着いた恋路である。二人は、岩の陰で衣服を脱ぎ一糸纏わぬ互いの裸身を見詰め合う。この世に生まれて初めて異性に、それも相...
無音の世界、張り詰めた静寂のなか、私は、(貴方から・・・その続きを、是非にもお聴きたい)と、語り掛けた。沈黙していた、老エゾマツは、少し考え込むような仕草を繰り返したあと、絞り出すよに、語り出した。
先ず、樹液が、小枝の末端に迄、行き渡るように、大きく深呼吸をして、老体に英気を漲らせながら、言...
私は、クラリネットを正式に習ったことはない。が、中学3年次、ふとしたことから、練習用のを買い求めて吹き始め、高校時代は、勉強の合間に、気分転換のつもりで吹いていた。しかし、クラブ活動の一環とした、経験はない。
しばらくは、そのことを忘れていたが、今こうして、森の中で生活するようになり、思い出し...
山際の朝靄が、次第に、濃いあかね色に、変わっていく。少しずつ、朝の☀太陽が、姿を現す。私は(おはよう御座います。久し振りに、お顔を拝見、嬉しいです!)と、語りかけた。彼も、<元気そうだね>と、応じてくれる。
私は、この瞬間が好きだ。真っ白に雪を被った山並みと雪原が、キラキラと輝き、その神々しい...
所要があり、首都圏に出かけていた妻が帰ってきた。彼女の仕事は、著実業。産まれたてのクリを、家族の一員として、知人宅から招き入れたのは、妻である。元来、犬嫌だった(幼児体験)私が、仕方がなく、認めた経緯がある。
妻の姿を確認したクリは、再会の歓びを表情に出し、体の全身を使って確認しているようだ。...