ユリ01「旅」
(10)
固い感触だった。
おきたときに見たのは黒。
黒だった。
あぁ分かったこれは、
誰かにおんぶされてるのだ。
で、 誰?
「わっ」
驚いて身をのけぞらせた。
「わっ」
そいつも驚いたのか前につんのめった。
投げ出された私は地...
どうでもいいことを書いています
ユリ01「旅」
(10)
固い感触だった。
おきたときに見たのは黒。
黒だった。
あぁ分かったこれは、
誰かにおんぶされてるのだ。
で、 誰?
「わっ」
驚いて身をのけぞらせた。
「わっ」
そいつも驚いたのか前につんのめった。
投げ出された私は地...
ユリ01「旅」
(9)
私はゆっくり立ち上がり、奴のあとを追った。
飛行機は本当にあるのだろうか、ふとそんな疑問が頭をよぎる。
あり得る。私がこいつと会ってからまだ二時間もたっていないが、
催眠スプレーを吹きかけたこいつなら有り得る。
でも、待たせてるって?私は大型の旅客機にしか...
ユリ01「旅」
(8)
うん分かったよ……『チビ』」
もちろん、からかい半分のつもりだった。
突然のことでよく分からなかった。
すごい衝動が頭に来た。首が宙ぶらりんな形で、ホームから飛び出していた。
襟首の部分を奴が握っていて、私はホームに仰向けに倒れていた。
「それ以上言った...
ユリ01「旅」
(7)
「これからどうするの」
奴に聞いた。
「待たせてある」
「何を?」
「飛行機だ」
奴はあっさりと言う。私は、長いホームの真ん中当たりで立ち止まった。
「ねぇ」
「何だ」
「チビだね」
「五月蝿い」
自分より頭みっつ分くらい小さい奴をみて、私はに...