Nicotto Town



自作小説倶楽部8月投稿

「ある夫人の肖像」 これが『Y夫人の肖像』です。私の若い頃の作品です。まだ20代の売り出し中の画家でした。避暑地で金持ちの肖像を描いて日銭を稼いでいました。あの頃は写真など無粋で絵画に家族の姿を残すことが金持ちのステータスのようになっていました。わずかな金を払って芸術家のパトロン気取りです。金を手っ...

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自作小説倶楽部7月投稿


「夜空を歩く」
  その人は母の従妹に当たる女性だったそうです。
  最初にその人を見たのは私が何歳の頃かは覚えていません。毎年、お盆に母の祖父母の家を訪れると、ああ、またいるな。と彼女の姿を目に留めたものです。
  彼女は蔵の脇の日陰に立っていました。昔...

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自作小説倶楽部6月投稿

『姉の恋』

「彼と別れるわ」
 姉は予想通りの言葉を吐いた。意味もなく細い指でストローの曲がり角をつまんでアイスコーヒーの氷を一回転させる。
 これで何度目のことだろう。僕は内心ため息をついた。
 大きな瞳がふたつ、卵型の顔の中できらりと輝く。少しカールした栗色の髪に染み一つない肌、服装はゆっ...

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自作小説倶楽部5月投稿

 『とあるおとぎ話』
 
  あたしは幼馴染の『のえる』が嫌いだった。
 読めない漢字で『のえる』なんて読ませる名前を付けるファンシーな脳みそのママを持った彼女はママの理想通りの大きなリボンにフリルのついたワンピースを着るような女の子に育った。
 そして「いつか王子様がのえるを迎えに来...

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自作小説倶楽部4月投稿

『菜の花畑の殺意』
 幼いころから病弱でしてね。病気の総合デパートなんて有り難くないあだ名を頂戴しましたよ。たまたまそういう体質に生まれてしまったんですよ。
 幸い両親は食うに困らない財産を残してくれました。どうせ長い人生じゃない。私の遠縁には没落してその日暮らしという人間もいます。だから私は幸運な...

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