Nicotto Town



自作小説倶楽部12月投稿

『大晦日奇譚』
「ああ、もう、ムカつく! あたしが一体何をしたっていうのよ!」 あたしはひとり毒づいた。「カケルのアホ! 課長のハゲ! アヤコのドブス! 母さんの…」 さらに悪口は三巡し、あたしは知る限りの罵詈雑言を吐き出した。 そもそもの起こりはあたしの彼氏のカケルがクリスマスの予定...

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JR通勤ラッシュ直撃

本日もいつものように出勤。。というわけにはいきませんでした。
電車が急ブレーキ。
『前を走る列車が異音を感知したため停止して点検を行っております』

「今日研修の予定だったんですが」
「みんな遅れるぞ」
「もうビュンビュン走ってるのが見える新幹線に飛び乗りたい」
「JR が何も言わないから」
「先輩...

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自作小説倶楽部11月投稿

「思い出の味」

好きかどうかじゃなくて、誰にだって忘れられない味っていうのがあるでしょう? 卵焼きは甘いのが好きですか? 塩味? 俺、卵焼きだけは上手に作れるんです。
 今はそんな話をしている場合じゃない?
 すいません。でも話させてください。自慢になるようなことは何もないから自分のことを話す...

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自作小説倶楽部10月投稿

『ハロウィン・マジック』

「お願いだ。リタ。陽の出町商店街のために一肌脱いでくれ!」
従弟はそう言って、わたしの前でヒキガエルのように床に這いつくばった。いつだったか伝統的最大限の服従のポーズだと教えてくれた。『ドゲザ』だ。
「あのねえ。ちょっと。顔を上げてよ。たかが地方の貧乏商店街がハロウィンで...

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自作小説倶楽部9月投稿

『薔薇の家』

おかしいと感じたことですか? どんなことでも?
そうですね。薔薇の香りかな。こんなことが手掛かりになるとは思いませんけど。
ええ、お話しするのはかまいません。
気が付いたのは夏の始めのころでした。
朝起きるとかすかによい香りがするんです。神経がやわらぐような。妻に「いい匂いだね。...

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