その場所はとてもとても遠い場所のように見えた。どうしてそうなっちゃったのかは、私のせいだと思う。それから、そんな余計なお世話だと思うけれど。あなたを幸せにしてあげたいと、思ってた。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
その場所はとてもとても遠い場所のように見えた。どうしてそうなっちゃったのかは、私のせいだと思う。それから、そんな余計なお世話だと思うけれど。あなたを幸せにしてあげたいと、思ってた。
誰もいない丘にたたずみて、あなたの名を呼べば。トパーズ色の空から、アクアマリンの雨が降る。サファイアの水滴が瑠璃の下草をおおい、ルビーの蕾が光をあつめる。ダイヤモンドは後れて、きっと通り過ぎる天気雨。
見えない世界の頬にに口づけして、あなたを好きだと囁いて。深い眠りに落ちたのに、あの世界がだんだん遠くにいってしまう。もっとずっと前、たぶん普通に話してた頃。とても身近にあったあの懐かしい麗しい世界が、今では本当にたまにしかみかけられない。わたしがいけないんだね、わたしがよそ見したせいで。だってあの時...
耳を澄ませば、どこかしらか聞こえる音。心を宇宙に向けて、なにかしら懐かしい記憶を探す。人はみな青い花束、光るアクアマリンの星。手がかりをのこして、手がかりを消して。それでもめぐりくる人に出会う。
忘れぬ思いはすぺて、このときのはかない成果。一過性の涙は、まるいまま夜へ沈む。
紙の上に印刷された雲。
私たちの軽いロマンチックも、この雲のようにイメージ化されるだろう。いつの日か。
あなたとは、好きなものが似ていた。一緒にいると、お互いの笑い顔が似てくる。
ガラスコップが割れた。ひび割れたその隙間から、水が流れ出して止まらない。
私たち二人は目をそらした。もうその時は、二人と...