自作小説倶楽部11月投稿(2)
- カテゴリ: 自作小説
- 2020/11/30 22:14:44
『春を待つ殺人』(後編)
顔に降りかかった温かい液体のぬめる感触に俺は目を開けた。俺が握ったものの先に男の顔が半分見えていた。握った柄の感触から、握っているものが斧の柄だと気付く。たった今、薪割りのために立て掛けてあったものだ。突きだされたものを凶器だと認識していなかったのか男は斧に突進していた。男...
『春を待つ殺人』(後編)
顔に降りかかった温かい液体のぬめる感触に俺は目を開けた。俺が握ったものの先に男の顔が半分見えていた。握った柄の感触から、握っているものが斧の柄だと気付く。たった今、薪割りのために立て掛けてあったものだ。突きだされたものを凶器だと認識していなかったのか男は斧に突進していた。男...
『春を待つ殺人』(前編)
「おひさしぶり」色あせた防寒着に身を包み、軍手を着けて山小屋を出たところで意外な人物が俺を待ち構えていた。冬山の登山には中途半端な時期に人に会うこと自体まれなのだが、その中でも最悪の相手だ。細い脚を包むブランドもののブーツはとても山に適した履物とは言えないが、彼女の影のよう...
怪物執事 英国を魅惑した殺人鬼の真実評価★2内容1978年、スコットランドでひとりの人間が終身刑を言い渡された。ロイ・フォンテーン―本名アーチボルド・ホールは数々の屋敷に執事として入り込んで金品を盗み、実弟をふくむ5人の人間を殺害した。小説ではなくノンフィクションで、第一章で自伝の内容、第二章で自伝...
前回の読書日記『ジーヴズの事件簿』でミコさんより『執事と従僕はほぼ同格』と指摘があり、調べてみたところ、てっきりfootmanだと思っていたジーヴズがvaletだと気が付きました。出版社が違うと執事になっていたり、要するに翻訳者でもイギリスの使用人の区別がよくわかっていないのではないかと思われます。...
『守護天使』
結核で亡くなったお姉様は守護天使となっていつも私の傍にいてくださいました。年老いた伯父に女中代わりに引き取られ、折檻のために暗くて冷たい部屋に閉じ込められた時も、お姉様に教えられた歌を歌い、じっと暗闇の恐怖に耐えました。夫に出会わせてくれたのもお姉様に違いありません。彼は父の借金が無効...